長編-僕がもう少し大胆なら
□第2章
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自己紹介が終わり、ほっと一息つく。
「じゃあ、山本はあそこの席。山田の隣、渡辺の後ろやな。」先生が指を差すのに合わせて目線を移す。
なんや、一番後ろの席やん、ラッキー。
そんなことを思いつつ、机と机の間を通り抜けながら何人もの女子に話しかけられる。
モテモテやん自分。と自惚れていると、私の前の席の子が話しかけてきた。
「さやかちゃんだよね!私、渡辺美優紀。よろしくー!」とニコニコしながら話すその子は、いかにもモテる女子という感じやった。
「おー、よろしく。」と笑顔で返事をすると渡辺さんは「菜々ちゃんもあいさつしとき。」と小声で言った。
菜々ちゃん…ああ、隣の席の子。なんか……可愛らしい子…。
「山田です。」と短く言ったその子は小動物みたい。ぷくぷくとした頬にクリクリとした目。渡辺さんとどこかしら似た雰囲気を持った彼女はなんかちっちゃくて、守りたくなるタイプの子やなーと思った。
そんな山田さんはどこかしら警戒してるような、落ち着かない表情を私に向けていた。それが何を示しているのかはわからへんのやけど。
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