長編-僕がもう少し大胆なら


□第3章
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「昨日のテストめちゃくちゃやったわー。」「ほんまにやばい!」


次の日、学校へ行くと教室内は昨日のテストの話題で持ち切りやった。

「あ、彩ちゃんおはよー!」

「お、おはよう…。」

「ああ、ごめん!自己紹介まだやったな。うち、小笠原茉由!まーちゅんって呼んでな!」

威勢のいい声とともに明るい笑顔が目に映る。


「うち、愛菜とは中学から一緒やねん。」

「そうなんやー、なんか安心したわ。」

「え。それどういう意味!?笑」


ぽろっと出てしまったよくわからない返事に、私自身もまーちゅんと同じことを思った。でも、安心したっていうのは本心で、そのままの意味だった。愛菜と仲がいいこの子も、きっと素直でいい子なんやろう。

女子校っていうのはもっとこう、女女しいところやと思ってたんやけど。対立とか結構あんのかなーって。でも実際に来てみたら、みんな可愛いし人懐っこいし。私、クラスメイトに恵まれたかもしれへんな。






「あ、さやかちゃん!おはよー!」

席につくなり、まぶしすぎる笑顔で渡辺さんが声をかけてきた。

「おはよう。あれ…渡辺さん彩ちゃん呼びやったっけ?」

「あ、いややった?山本さんの方がええ?」

「あ、いや、全然そんなことないで!なんなら彩でええで?」

「いや!さやかちゃんはさやかちゃんや!」

「どういうことなんそれ笑」

「うちのこともみるきーって呼んでな。」

三日月のように目を細めた渡辺さんの笑顔には中毒性がある。渡辺さんに笑顔で名前を呼ばれると少しドキッとするんはまだ慣れてへんからかな。渡辺さんの愛想のよさって、表情や仕草だけやなくて積極性からもきてんねんな。



そうやって感心しつつふと横を見ると渡辺さんの方をじっと見つめる山田さんが目に入った。

「おはよう、山田さん。」

「……おはよう。」
そうやって小さくつぶやくと、山田さんはプイっと前を見てしまった。


そっけない反応…。人見知りなんかなあ。床を見つめたままうつむく山田さんは何を考えてるんやろう。最初は渡辺さんと似てるんかなって思ってたけど、今のところ真逆やんなあ。せっかく可愛いのに、もったいない。








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