リクエスト

□二人だけの秘密/さやなな
1ページ/3ページ



4時間目の授業が終わった。いつもの仲良し4人組でお弁当を食べようと2対2で机を向かい合わせる。

私の目の前には仲良しのまーちゅん、そしてまーちゅんの横には愛菜。
二人ともサバサバしててふざけ合うにはもってこいのやつらや。
その反面、恋愛相談なんかできっこないねんけど…。



「今日お腹すきすぎて早弁しちゃってん……」
口をとがらせて私の隣に座ってくるのは私の彼女の山田菜々。
食べ物ひとつでここまでテンションを下げれる菜々は子供みたいで可愛い。
また早弁したんか、とあきれて横を見ると菜々のうるうるとした瞳が目に入って思わずドキっとする。

私たちが付き合ってることはみんなに言ってへんから、どんだけ菜々を愛おしく思ってもすぐには抱きしめてあげられへん。もともと私、デレたりするキャラちゃうし。



隣に座る菜々が自分の弁当を全部食べてしまったことは、手ぶらの菜々を見ても菜々の表情を見てもすぐにわかった。菜々、早弁して弁当がないときはいつもフグみたいな顔してすねたあとに甘えた声でおねだりすんねん。

今日も菜々が私の弁当を狙ってることくらい簡単に予想つくんやけど、おねだりする可愛い菜々を見たくてわざと知らんぷりをする。

「なあ、彩?」

「なんや?」

「ん。」

菜々はあごの先で私の弁当を指す。これが弁当の催促だってことはわかってんねんけどわからへんふりをする。

「え、なに?」

「ん!」

さっきよりも大きく頭を動かす菜々。催促してるってことがわかるように私の弁当に顔を近づけてるから、その大きな瞳は自然と上目遣いになる。

あかん…可愛すぎる…

本当なら、このまま菜々の柔らかい体を目いっぱい抱きしめたいとこやけど、目の前の二人が気になってそんなことでけへん。
胸のざわめきを取り去るために菜々から目を逸らす。

「なんで目ぇ逸らすん??彩のケチ……。」

案の定フグみたいな顔になった菜々を見て、ほんま単純やなーと笑ってしまう。でも、ここで私が笑ってんのが本人にバレたら菜々がもっと拗ねることもわかってる。笑みがこぼれないように歯を噛みしめて「早弁したん山田やろ。」と冷たく返す。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ