リクエスト

□たまにやから。/さやなな
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「うー、眠っ!」

楽屋のソファに横になって、寝る体勢に入ったさや姉。

外番組の収録で今日は私とさや姉の二人だけ。
普段より広く感じる楽屋がより私をさみしくさせる。

「さや姉〜寝るん?」

「んー、」

「もう完璧寝るやん…」

「……」

「せっかく二人きりやのに…」


私はそういってソファを離れようとした。
でも一歩足を踏み出したところで衣装のブレザーを引っ張られて私の体はそこでストップした。

「?」

後ろを振り返るとさや姉が目をつぶったまま私の衣装の裾を掴んでいる。

「なんや、寝るんやなかったの?」

「……山田〜?」

「なに?もう」

「さみしいん?笑」

そう言って薄目を開けて笑うさや姉。心臓がドキリと跳ねた。

「…別に…ただ暇やなぁと思って。」

「…そうか、じゃあ寝るわ。」

「え、ちょっ、まっ…」

こういうときのさや姉はほんまにS。私が強がってるんもわかっててこういうことするんやもん。

「…ははっ笑」

「なーにーよー!」

「やっぱさみしいんやろ?」

「、」

返す言葉がなくて私は思わずうつむく。


「ん!」

「…え?」

さや姉の声が聞こえて顔をあげる。

「山田、おいで。」

さや姉がソファに寝たまま両手を広げていた。普段とは違う優しい笑顔。

「…いやや〜。」

「なんで嫌なん?二人なんやし、ええやろ。」

「むー…//」

確かに…今日は二人きり…。
でも普段しんことをするんは恥ずかしい。

「おいで、菜々?」

私を真っ直ぐ見つめて目をクリクリさせているさや姉。
もう、そんな目で見られたらあかんわ…

そのまま私はソファのさや姉に飛び込んでさや姉の首筋に顔をうずめる。さや姉の匂いで頭の中がいっぱいになる。

「ふふ…くすぐったいわ。」

「ええやん、たまになんやから…。」

「それもそうやな。」

おそらく笑顔で言ったであろうさや姉の声はキャプテンのときのさや姉の声とは違う優しさがあった。
キャプテンのときも優しい話し方やけど、今は私だけに向けられた優しさなのが伝わってくる。

「山田〜?」

「んー?」

「ギューってして。」

「えっ?」

珍しく甘えたなさや姉。
でも、こういうときに本来の年下っぽさが見えて安心する。

「ギューっ…//」

さや姉のお腹に回った両手に力を入れる。


「……」

「さや姉?」


「……好き。」

「へっ?」

「好きー。」

ほんまに今日は甘えたな日らしい、そのまま私をギューっと抱きしめてきた。

「もうなによ…普段そういうこと言わんくせに…//」

「それはみんながおるからやろ。」

「せやけど……」

「ほんまのことやで?」

さや姉は顔だけをあげて、眉毛を八の字にしたまま私の目を見つめる。
顔がカーッと熱くなる。

「…ありがと。」

「ふっ、顔赤いで?笑」

「もぅー、ほんっまにさや姉は!」

「なによ笑 可愛いからええやん。」

「もうー!//」

さや姉が近距離で好きだの可愛いだの言うもんやから恥ずかしくてしゃあない。照れ隠しにいつものフグの顔。

「…あかん山田。」

「今度はなにー?」

「その顔せんといて。」

「なんでよ、可愛いやろ?」


私はもう一度フグの顔をする。

「せやからあかんって言うたやろ…」

「え、なに?」

「可愛すぎんねん…」

「、」

「…もう我慢できひん。」

そう言ったさや姉はそのまま私の顔を自分の胸に引き寄せた。
さや姉の体温と弾力で鼓動が速くなる。


「んん、苦しい…。」

「あ…ごめん、」

さや姉の腕が緩まり、私は上を向く。するとさや姉も私の方を見下ろしていた。
目が合う。
心臓がまたドキリと跳ねる。

「…ん、」

どちらともなく互いの唇が近づいて、軽く触れた。

「山田、好き。」

「…私も。」

さや姉の腕は私の頭を包みこみ、私の腕もさや姉の肩を抱く。
目を見つめ合いながら、気持ちを確認するように軽いキスを繰り返す。
そのうちキスはどんどんと深くなり、ゆっくりとさや姉が私の上に被さるような体勢になった。
熱くて深いキス。
普段できひんから気持ちも余計に盛り上がる。

「山田…いい?」

ぐっと私を見つめるさや姉は、ダンスナンバーを踊っているときと同じ目をしていた。力強くてどこかエロいその表情は私の心をくすぐる。

「…ええよ。」

小さい声でそう呟いくと、さや姉は私のブレザーに手をかけた。


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