長編-僕がもう少し大胆なら
□第3章
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みるきーの笑顔を見てると安心する。いつものみるきーやなあって。誰をも魅了する魔性の笑顔は、もちろん私も大好きや。みるななって呼ばれてたころからずっと大好き。
せやけど……
「なあなあ、さやかちゃん!」
「どした、みるきー?」
「ここの問題がわからへんねん。さやかちゃん、わかる?」
そう言って体を後ろに向けながら山本さんに笑顔を見せるみるきーには感心せえへん。
なんでって…
「ああ、ここはこうやって解くんやで!」
やって…山本さん、優しいんやもん。表情も声も、ふとした仕草も全てが優しい。
二人が話せば話すほどみるきーが山本さんに持っていかれそうで怖いやもん…。
「うわあ!さやかちゃんって頭ええねんなあ、ありがとう!」
そうやってみるきーはまた山本さんに最高の笑顔を見せる。
みるきーのその笑顔を取り戻すのにどれだけ私が苦労したと思ってるん?
なあ。この感情はなんなん?嫉妬なん?転校してきてまだ2日目やで?私、山本さんに嫉妬してるん?
なあみるきー。私が守りたいのはみるきーの笑顔やんなあ?
それとも私……自分の笑顔を守りたいだけなんかなあ。
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