長編-最後のカタルシス

□1話
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最近買ったばかりの腕時計をちらちらと見ながら、私は駅前のファミレスに急いだ。


6月の蒸し暑さが私のYシャツを湿らせる。






「あー!まーちゅん!もう来てたんやね!遅れてごめんなあ!」

「あー!彩!久しぶりー!全然待ってへんで!」


数ヶ月に見る親友の姿に思わず声のトーンが上がる。



「最後に会ったの、卒業パーティーのときやもんなあ!」

「いま考えたらそうやな、めっちゃ久しぶりやない!?」

「なあ!」





親友のまーちゅんとは中学が一緒で、部活も、クラスもずっと一緒やった。

高校に進学するときに離れちゃってんけど、いまでも毎日のように連絡を取り合ってる。


先週、まーちゅんが私にメールしてくれたのをきっかけに、今日こうして久々に会うことができた。









「南高の高橋くんって子がぁ、」



久しぶりに会ってすぐ、中学のころに戻ったようにたわいもない話で盛り上がる。

数ヶ月ぶりに会ったところでお互いに何も変わってなくて、すぐに数ヶ月前の感覚を取り戻す。










私の高校は私たちの地元にある。
このファミレスからもほど近い。



逆にまーちゅんが通う南高は、ここの窓から見える地元駅から3つ離れた駅の近くにある。

せやから、登校するときに偶然会うにも、機会が少ない。
なんて言うても今日は高校に入ってから初めて顔を合わせたもんやから、お互いの近況を報告し合って、くだらないことで笑ってた。







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