紫黒桜
□弐
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箱を拾い取り合えず回りを見回す周りには、前とも、その前とも違う風景が広がっていた。
階段の様に畑や水田が多く広がっている。
「どいた、どいたぁ!! そこのあんたも!!」
「え?」
「ごめんね!! ちょいと通るよ!!」
凄い勢いで目の前を人が通過して行く。
「こら、慶次!! 待ちなさい!!」
その後から怒っている女性が走って来る。
あぁ、あの人が何かしてあの女性怒らせたんだなと春華は即理解した。
――つか、怒られると理解して逃げているやつに、待てと言われて待つやつはいないだろ。
「すみませぬ、ちょっと失礼いたしまする!!」
そして、女性も目の前を通過して行った。
「まつー……腹減ったぁ……」
ぐきゅうぅぅるるるるるる
そのさらに後から弱々しい男性の声と大きな腹鳴が聞こえた。
……どういう状況?