紫黒桜

□弐
2ページ/12ページ

箱を拾い取り合えず回りを見回す周りには、前とも、その前とも違う風景が広がっていた。

階段の様に畑や水田が多く広がっている。

「どいた、どいたぁ!! そこのあんたも!!」

「え?」

「ごめんね!! ちょいと通るよ!!」

凄い勢いで目の前を人が通過して行く。

「こら、慶次!! 待ちなさい!!」

その後から怒っている女性が走って来る。

あぁ、あの人が何かしてあの女性怒らせたんだなと春華は即理解した。

――つか、怒られると理解して逃げているやつに、待てと言われて待つやつはいないだろ。

「すみませぬ、ちょっと失礼いたしまする!!」

そして、女性も目の前を通過して行った。

「まつー……腹減ったぁ……」

ぐきゅうぅぅるるるるるる

そのさらに後から弱々しい男性の声と大きな腹鳴が聞こえた。


……どういう状況?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ