Another Mirror

□Our princess
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「し…真実の鏡…?」


審判は確かにそう言った。しかしアナはどう見たって人間の形をしている。鏡であるはずが無い。
アナを振り返ると、目をぱちりと大きく開け、呆然と立っていた。驚いてるのかと思いきや…

『そうですが…どうして分かったんですか!?』

紙に書かれていたのは肯定の文字。まさか、本当に鏡だとでも言うのか。

「僕は真実の天秤だからね、君と同じように真実が見える」
「ちょ、ちょっと待って。アナ、どういうことだい?」

状況についていけず、思わず話を遮る。そうして隣のアナに問いかけると、慌てて紙に書いた。

『黙っていてごめんなさい。私、本当は人じゃないの』
「えっと…審判が言った『真実の鏡』?」
『うん。誰かの昔、未来、今にある本当のことを見たり、鏡に映すのが真実の鏡。嘘を見破ったり、名前とかわかったりもできるんだ』
「でも…映すってどこに?」
『本当は隠してなきゃいけないんだけど…』

そうして不安そうに審判を見るアナ。それに応じて頷いた審判から何かを読み取ったのか、アナは決心したように両腕を物を抱えるような形に開く。
するとアナの身体、胸の辺りが光ったと思うと、もう次の瞬間には長方形の鏡が腕の中に収まっていた。
鏡を囲む木枠には赤い宝石と、それぞれの辺に「truth」「falth」「future」「present」の文字。両開きの扉を開いた中には傷ひとつない鏡があった。

『真実の鏡について教えると危険な目に合うから駄目だって、おかあさんたちから言われていたの。ごめんなさい…』

確かに、不思議な力を持つ少女といえば悪い考えを持つ者が手を出してくるに違いない。もしかしたらアナの誘拐も、奴らが力を嗅ぎつけたからかもしれない。

「アナ、安心して。ここには君みたいに不思議な力を持った人達が沢山いる。それに危害が加えられそうになったらオレが絶対守ってあげるから」
「僕も協力するよ!真実を見れる者同士仲良くしよう」

二人でそう言うと、鏡をぎゅっと抱き締めて、嬉しそうにアナは微笑んだのだった。

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