Another Mirror

□In the new house,with my family.
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グレゴリーハウスに初めて訪れた日から審判ゴールドさんとは全く会わなくなってしまった。意図的に避けられていて、怒らせてしまったことを謝罪しようとするも会えないのでは意味がない。
一応審判ファーストに伝えてもらえるようお願いしたのだが、聞く耳を持ってもらえないらしく、弁解もできないままアナの能力の勉強もファーストに見てもらうこととなった。


『やはり怒ってらっしゃいますよね…初対面だというのに不躾なことを』
「うーん。でもここまで臍曲げてる親分も親分だからさ、アナちゃんも深く落ち込まないで?」

ファーストが励ますように肩を叩いてくれ、気持ちを切り替えて勉強に取り掛かる。

2人がいるのは普段審判小僧の訓練生が鍛錬に励むジャッジメントファクトリー。ファースト以外の審判小僧は現在ゴールドさんの出張に付き添っていて居ない。隅がよく見えないほど薄暗いが、広々とした室内は障害物もなく動きやすかった。

「まずは君がどんな事が出来るのか理解しなくちゃね。分かっている範囲だと何ができる?」

そう言われ、自分の能力を順番に思い浮かべていく。
まずは真実の姿を見て鏡に映し出す事と、鏡を通り抜けたり操ったりする事。この2つはほぼ無意識で使えるのであまり悩んだことはない。それ以外だと、真実の目を利用して遠いところを見たり透視したりするのは、考えて使わないと調整がまだまだ難しかった。

「じゃあその千里眼としての使い方を強化する必要があるね」
『ファーストは千里眼得意なの?』
「勿論!ただアナちゃんと違ってこの天秤使わないといけないけど」

両腕にぶら下がった二つの籠を示しすと、中のハートとドルがキラキラ光ってとても綺麗だ。なんでも、この二つの傾き具合によって判断するらしい。


軽く説明を受けた後、早速練習を始める。
まずは箱の中に入った物を当てたり、ホテル内に隠された特定の物を探り当てるというのをいくつか行った。やはりまだまだ焦点が合わなかったり、力の加減が分からず疲れてしまうが、ファーストにコツを教えてもらい、休憩しながら練習を重ねれば段々と慣れてくるようになった。

「アナちゃん飲み込み早いね!この分だとすぐ次の段階に入れそうだ」
『次の段階?』
「うん。グレゴリーハウスでする仕事は人間相手の他にも色々あってね、不可視の術がかけられる場合もあるからその練習」


術式によく通ずるというカエル占い師に協力してもらおうと、一旦ジャッジメントファクトリーを出る。すると廊下の奥から蝋燭の明かりが見え、ちょうど燭台を持ったグレゴリーと出会った。

「おお、さっそく練習していたのか。どうじゃ進歩は」
「アナちゃん凄く賢くて優秀だよ!教えるこっちも楽しくなる」
「そうかそうか、ではすまんが練習がてら手伝って貰いたいことがあるんじゃが…」


 
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