Another Mirror

□In the new house,with my family.
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グレゴリーに促され、先ほどいた居住区の本館とは別の館に移動した。
別館は本館よりも小さいながら巨大な収蔵を誇る図書館が入っていて、最初に案内された時非常に興奮したのを覚えている。
今来ているのはその図書館の裏側にある倉庫で、ごちゃごちゃと色んな物が置かれトラックも停められていた。暖房がないからひどく寒い。グレゴリーが黒子から鍵を貰い、荷台を開けるとそこには段ボールが山積みにぎっしり。どれも隙間なく密閉されている。

「これはさっき緊急で発見された武器類だ。ピストルやナイフだけならまだいいが、どうも爆発物と劇薬も混ざっているらしくての…」
「それをこの中から当てろってこと?」

困ったように頷くグレゴリー。確かに迂闊に開ければ危険だが、一トントラックに詰まったこれを一つ一つ見ていくのはどれだけ時間がかかるのか…

「ま、僕もいい練習になるし。二人で頑張ろうアナちゃん!」
『はい!』



選別作業のために荷台から箱を下すのは黒子に任せて、二人は別々に荷物の判別に取り掛かった。アナはまだ不安な部分もあるので、慎重に見ていく。
ただでさえ銃器危険物がごっちゃに押し込まれ、重なった物を一つ一つ透視して下の物を見ないと複雑すぎる。

(これは駄目。これは…うーん)
「う…大分ごちゃごちゃに入れられてるなぁ。物が重なって判別しずらい」


雪が降るほどの寒さと長時間連続で能力を使用した疲労でだんだん体力がなくなってくる。しかし数を熟せばなんとやら、というのはあながち間違っていないようで、終わるころには大分慣れ、さくさくと選別したものを黒子に渡して作業を進めれば、1時間ほどでトラックの中身は空っぽになった。
グレゴリーに報告してから本館に戻る。流石に審判も疲れたのか、今日の勉強はお開きとなってしまった。




「今日は審判と勉強だったんだって?上手くやれたかい?」
『ううん、まだまだ慣れないや』

自分の部屋のベッドに座ったアナは、仕事から帰ってきたキャビーにそう問われ、本日あったことをゆっくり紙に書いていき見せると優しく微笑んでくれた。
そのままキャビーも今日の仕事で面白かったことを話したりしていたが、溜まった疲れから段々瞼が重くなってくる。遂にアナは、ベッドに伏して寝息を立て始めてしまった。

前のゴールドさんの事もあってアナがこの家になじめるかどうか不安だったが、その柔らかい寝顔を見てキャビーも一息安心する。


「おやすみアナ、良い夢を」


どうかこの寝顔が続きますようにと願いながら
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