novel
□大丈夫だよ
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「それでね、イッチー。」
「は、はい…。」
「…なんだけど、イッチーはどう思う?」
「……えっ?す、すみません、もう一度言っていただけますか?」
さっきからこの調子。
でも、ボーッとして上の空って感じじゃないんだ。
他のことに、気をもっていかれちゃってるって言ったらいいのかな。
「ねぇ、イッチー大丈夫?」
「な、なんのことですか…?」
んー…。どうしても教えてくれないらしい。
顔はちょっと赤くなって、額には汗。
膝を擦り合わせたり、服の裾をいじったりと無意味な行動。
絶対トイレだと思うんだけど…。
まぁ、イッチーの性格からして言い出せないんだとは思うけど。
仕方ないね。
ごく自然に、行き先を変える。
イッチーは気づいていないみたいだ。
そんなことに気づける余裕もないんだね。
本当は仕事が終わって、そのままマスターコースの寮に帰るつもりだったんだけど、ちょっとだけ寄り道。
イッチー、寮までもちそうにないしね。
たしか、この先の公園に割りと綺麗な公衆トイレが…。
ほら、見えてきた。