novel

□good boy
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ガチャ!バタン!

部屋で書物を読んでいると突然響いた扉を開ける音。

「マサーっ、ここ教え…、あれ?レンは?」

「あぁ、あいつなら家に帰っているぞ。」

ノックもなしに部屋に入ってくる一十木にももう慣れた。

「ふぅ〜ん…、珍しいね。」

当たり前のように俺の側の畳に腰をおろす。

「それで、課題はいいのか?」

「あっ!これこれ!トキヤに聞こうと思ったんだけど、いなくて…。」

そういえば今日、一ノ瀬は寮に戻らないのでは…?

「忘れてた…!えぇ…、俺、今日の夜1人…?」

見てわかるほどにしゅん…としてしまう。

これだから放っておけないのだ、こいつは。

「俺も1人だ。よかったら夕食を共にしないか?」

「え…、いいのぉ⁉」

わかりやすく輝く瞳。

思わず赤い髪に手を伸ばす。

「あぁ。ぜひ食べていけ。」

「…ねぇ、マサ…。」

「む?」

珍しく少し不安げに揺れる瞳にのぞかれる。

「今日、マサの部屋にお泊りしちゃだめ…?」

「…そうだな。いいぞ。」

俺もどうせ1人だ。

たまには一十木と過ごすのもいいだろう。

「やったぁ!俺、お泊りセットもってくるね!」

鼻歌交じりに自分の部屋に駆けていく一十木の後ろ姿を見て、自然と頬が緩む。

今までこのような経験…、お泊り会…、と言うのだろうか…。

そのようなこと、したことがなかったからな。

少し…楽しみだ。
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