novel

□昔と今と、
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トントン

ソファで雑誌を捲っているとドアをノックする軽い音を耳が拾った。

こんな時間に誰かな?

そういえば一昨日、イッチーにCDを貸したし、返しにきたのかな?

「はいはいっ…と。」

ドアを開けてオレの目に飛び込んで来たのは、予想もしない光景。

「えっ…と?」

イッキ、シノミー、それから聖川。

Aクラスのメンバーだね。

それはわかる。

だけど、なんで聖川がシノミーにおぶられているんだい?

「あのね、レン!マサ、熱出しちゃって…。」

イッキの話によると、体調が悪いのを隠し続けて、3人で課題曲の練習をしている途中に倒れたらしい。

「OK、迷惑をかけたね。そいつは預かるよ。」

布団を敷くのが面倒だったから、とりあえずオレのベッドに寝かせる。

「送ってくれてありがとう。あとはオレが看てるよ。」

「うん。…あとね、レン…、これ…。」

渡されたのは小さめの袋。

中は見えないけどそれなりの重さがある。

「これは…?」

「んっと…、マサ、気にしてると思うからあんまり言わないであげてねっ。」

まだ用事があるみたいで、それだけを言うと手を振りながら部屋を出て行ってしまった。
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