Strawberry mix
□プロローグ
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「氷帝から合宿の案内が届いた。今日のミーティングではそのことについて話合いたいんだが――」
赤澤がミーティングを始めようとするが、途中である一点を見つめた。
そこには――
「さぁ、今日の紅茶はダージリンですよ。スコーンも焼いてきました」
「美味しそう…」
「では、早速召し上がって下さい」
静は手を合わせて「いただきます」と言うと、仄かに湯気がたつダージリンティーに口をつけた。
「……美味しい」
「んふっ、当然です。静さんが口に入れるものですからね、完璧なものでなければなりません」
僅かに口元を綻ばせた静に気を好くした観月は、得意気に笑って言いのけた。
「観月、成瀬! 今はミーティングの時間だ。茶を飲んで良い時ではない」
「あ、裕太くん、裕太くん。このスコーン、いちごの味がするよ」
「ん? ああ、確かに。美味いな。流石、観月さんだ」
「んふっ、いつもとは違ったものをと思いまして、一工夫加えてみました」
これ以上好き放題させる訳にもいかず、赤澤が活を入れるものの、そんなのお構いなしなのがルドルフの癒やしにして、もっとも自由な静だった。
そんな静に感化されてか、無類の甘いもの好きである裕太もスコーンを頬張った。
「……お前らなぁ…!」
「もう合宿参加でいいんじゃない?」
「木更津……だが、俺一人の一存で決めるわけには…」
「別に問題ないだーね。それより、俺も混ぜて欲しいだーね」
「クスっ、じゃあ俺も」
やることはやったと言わんばかりに柳沢に続き木更津までもがお茶会に混ざりだした。
赤澤は思わず米かみを抑えた。
「本当にいいのか? これで…」
そんな呟きは賑やかな喧騒にかき消されたのだった。
――――聖ルドルフ学院、合宿に参加。