Strawberry mix

□レクリエーション
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「心愛た〜んっ! 今からレクレーションするよ〜っ!」



部屋に備え付けのシャワールームを使い、髪を乾かしていた時のこと。夏希が心愛の部屋へ来たかと思えばそう言った。





「レクリエーション…? なんでまた…」


「ほらほら! 景ちゃんも言ったように打ち上げの延長戦、親睦会だって!」


「親睦…?」



親睦会という単語に怪訝な顔をする。露骨に面倒くさいだの行きたくないだのを顔に出す心愛に気にすることなく夏希は続ける。強引なのが夏希だ。





「そうそう! 霞先輩たちも向かってるから一緒にいこっ! 心愛たんが人見知りでも大丈夫だよ。りょーくんたちもいるからさ!」


「う…………分かった。行けばいいんでしょ、行けば」


「さすが心愛たん! あ、そんな嫌そうな顔しないでよ。だーいじょぶだって! 心愛たんに近づく悪い虫は、ぜーんぶ夏希が追い払うから!」


「……シャレにならないね」



そう言って夏希と手を重ねた心愛は、苦笑を零すのだった。









ところ変わって――その頃の瑠璃たちはというと……





「レクリエーションって、いったいなにをするんでしょうね?」


「さぁな。チェスとか言い出さなきゃいいんだけど」


「それは……なんだか跡部さんらしいですね…」


「チェスの確率は……12.6%ですね」


「そんなことまで分かるのか!? 柳並だな…本当」


「乾先輩みたい……って、意外と低い?」



こちらは三人仲良く談笑しながら向かっていた。行動パターンまで計算できる静に霞と瑠璃は驚くばかりだ。






「じゃあ、逆に可能性があるのは…?」


「えーっと……有力なのは――」


「なのは…?」



思わずゴクリと喉を鳴らした。そこまで重要かと聞かれたら首を傾げてしまうが人間もったいぶらされると気になるものだ。








「…………枕投げ…ですね」


「……は?」


「……へ?」


「……」


「なんか…意外と普通だな」


「ベタが一番…ってことですかね?」


「跡部さんがやりたかった確率は――90%…です」


「…ああ、坊ちゃんだもんな。やったことなさそうだもんな」


「あ、はは……」



どこか同情的な霞と乾いた笑いを漏らす瑠璃とは裏腹に、静はそっと手元にあるノートの一点を見つめた。











「(跡部景吾の意中の人物。そしてその後の予測――――)」



静にノートを閉じれば、静の脳裏に優しいお姫様の泣きそうな顔が浮かんだ。







「ほら、なにそんなとこで突っ立ってんの? 行くよ、静」


「あ…」


「そうだ! 手、繋ぎましょう! 心愛ちゃんと夏希ちゃんみたいに!」


「へぇ、いいじゃん。ほら、静も」


「静ちゃん!」


「……うん」



瑠璃の温かい手に、静は少し微笑んで、握り返した――。
















そしてレクリエーションの内容はというと……。





「ハッ――――枕投げ大会の始まりだっ!!」




静の予測は見事的中したのだった。
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