Strawberry mix
□運命は回る
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「あの…そのお嬢様って、いったい…」
時を同じくして青学メンバーも合宿場へ向かっていた。
桃城や菊丸はお菓子を食べることに集中していたが、話題に耳を向けた。
「今回、この合宿を企画したのが跡部景吾様であることはご存知ですか?」
「それなら把握しています」
「それなら話は早い。我々がお仕えしている柊家の息女で在らせられるお嬢様は、その景吾様の――婚約者なのです」
サラッと告げられた事実に、一瞬思考が停止する。そして――
「「「えぇぇえええっ!!?」」」
車内に大絶叫が木霊した。
「こほんっ、失礼しました」
瑠璃は照れ隠しに一つ咳払いをする。
「いえいえ、驚かれるのも無理はありません。今の内から婚約者がいることは珍しいですから」
「そ、そうなんですか…ありがとうございました」
驚きのあまりぎこちなさが残るが、律儀にお礼をする瑠璃。
手塚は流石…と言うべきか、完璧なまでのお辞儀をしていた。
「流石…跡部さんって言うべきか…すげーよな、すげーよ」
「跡部の婚約者かぁ…どんな子なのかにゃ? 気になるにゃー」
「……猿山の大将が2人…だったり」
「クスッ、僕は優しい子だと思うな。わざわざここまで手配してくれた子だしね」
王子様スマイルを浮かべて話す不二に、ピクピクと瑠璃が反応した。
「ん? 望月どうし――まさか!?」
「ま、マズいっ!」
慌てる桃城と乾だが、時既に遅し。瑠璃のスイッチは完全オンだ。
「流石が不二先輩! 分かってますね! ええ、絶対に優しい子で間違いないですよ! こんなに尽くしてくれるなんて天使ですよ! 寧ろ天使以外の何者なんですか!? そしてリョーマはどれだけお金持ち=跡部さんって思ってるの!? 俺様みたいな子が気遣いなんかしないでしょ! いや、別に俺様でもギャップがあって可愛いけどね! ツンデレだと二度美味しいけどね! 私が!! それに彼女は間違いなく美少女です!! 何でかって? 私の美少女センサーが反応してるんです! そりゃあ、嘗て無いほどビンビンに! そして出来る事なら私のお嫁さんになって欲しいなぁ! あ、でも美男美女を見守るのも――」
瑠璃のマシンガントークに皆目が反目になっている。
越前達は我関せずといった様子で飲み物やら菓子に手をつけている。
その間も瑠璃は語っているが。
「ああなった瑠璃は放っておくのが一番にゃ」
「幼なじみの妙な説得力があるな」
「だって、大石。瑠璃は無類の美少女好きにゃ。付き合ってたら日が暮れるにゃ」
「はは…瑠璃ちゃんが話てるのは会ったこともない子だからね…」
「り、理屈じゃない…!」
「フシューッ…」
「――て、思うんですけど、皆さんどう思います?」
「「「「「「「「「いいんじゃない/っスか?」」」」」」」」」
着く前から疲れるレギュラー達だった。