Strawberry mix
□キライの反対
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「……何があったんだ…?」
辛うじて出た言葉はそれだった。
「あ…はは……」
「……」
まず目に入った一年たちは何故か粉塗れで、瀬戸内さんは苦笑いだが、柊さんは俯いていて表情を伺えない。
厨房を見渡せば、粗方出来ていただろう料理も殆ど粉を被っていて、食べれるかもしれないが美味しくはないだろうという状況だ。
「す、すみませんっ! わ、私が余計なことをしちゃって、二人の邪魔をしたんです! 本当に……ごめんなさいっ!!」
ものすごい勢いで深く頭を下げる望月さんに一瞬呆気に取られるが、今やるべきことを考える。
「あー…とりあえず、作り直すか。夕飯まで休憩時間も入れて1時間半くらいあるし……全員でやればなんとか間に合う……はず」
正直、何がどうなってこうなったかは分からないが、話によれば望月さんがダメでも一年たちは料理が出来るようだし、あたしも人並みには一応出来る。
成瀬さんは分からないが、まぁ、最悪三人で協力すればなんとかなるだろう。
「……望月さんは掃除をお願いしますっ」
「う、うんっ!」
そう半ば自棄に言い放った柊さんに、あたしは人知れず笑いが零れた。