Strawberry mix

□歩みよるということ
2ページ/5ページ

「――で、いつまでここにおる気なん?」


「う、うるさいっ!」


「それ20分前にも言ったで。レパートリーの少ない頭やな」


「(うっざー)」


「お前のうざさに比べたら俺なんてかわいいもんや」


「なっ!?」


「いや、そんな…何で分かったみたいな顔されても……言ったやろ、自分顔に出すぎやねん」


「……」



何も言い返せない。これも5回目だ。でも仕方ないじゃん。みんなの前で私はその……本性を現したわけで……ここにいる人はみんな知ってるってことでしょう?
自分で蒔いた種だけど、やっぱり――――怖い。







「はぁ……ホンマめんどくさい奴やなぁ」


「……」


「って、なに落ちこんどるん? 自分メンタル弱すぎやろ…」



何も言い返せない。だって仕方ないじゃん。こんなズバズバ言ってくる人なんてそうそういなかったんだから。
昔から要領が良くて出来ないこともそうそうなかった。
出来ないことがあっても、亮たちがいたからそれでよかった。
だから、客観的に見れば、やっぱり私って嫌な奴なんだなって……少し悲しくなった。変なの。全部全部、私が自分で選んで決めた結果なのにね。
すると突然、腕をひかれた。









「ほら、行くで」


「え、ちょっ」


「自分が覚悟決めるまで待っとけばお天道様が昇ってまう」


「な、ななっ!?」


「別に最初から一人で行け言うとんのとちゃうし。しゃーないから俺が腕引っ張ったる」


「で、でも!…私っ…!」



心の準備が出来てない…!! そう、やっぱり顔に出ていたのか、財前光が薄く笑ったのが見えた。










「そんなんぶっつけ本番や」



そう言った財前光を、私は心底殴りたくなった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ