Strawberry mix
□歩みよるということ
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「――で、いつまでここにおる気なん?」
「う、うるさいっ!」
「それ20分前にも言ったで。レパートリーの少ない頭やな」
「(うっざー)」
「お前のうざさに比べたら俺なんてかわいいもんや」
「なっ!?」
「いや、そんな…何で分かったみたいな顔されても……言ったやろ、自分顔に出すぎやねん」
「……」
何も言い返せない。これも5回目だ。でも仕方ないじゃん。みんなの前で私はその……本性を現したわけで……ここにいる人はみんな知ってるってことでしょう?
自分で蒔いた種だけど、やっぱり――――怖い。
「はぁ……ホンマめんどくさい奴やなぁ」
「……」
「って、なに落ちこんどるん? 自分メンタル弱すぎやろ…」
何も言い返せない。だって仕方ないじゃん。こんなズバズバ言ってくる人なんてそうそういなかったんだから。
昔から要領が良くて出来ないこともそうそうなかった。
出来ないことがあっても、亮たちがいたからそれでよかった。
だから、客観的に見れば、やっぱり私って嫌な奴なんだなって……少し悲しくなった。変なの。全部全部、私が自分で選んで決めた結果なのにね。
すると突然、腕をひかれた。
「ほら、行くで」
「え、ちょっ」
「自分が覚悟決めるまで待っとけばお天道様が昇ってまう」
「な、ななっ!?」
「別に最初から一人で行け言うとんのとちゃうし。しゃーないから俺が腕引っ張ったる」
「で、でも!…私っ…!」
心の準備が出来てない…!! そう、やっぱり顔に出ていたのか、財前光が薄く笑ったのが見えた。
「そんなんぶっつけ本番や」
そう言った財前光を、私は心底殴りたくなった。