Strawberry mix
□理想の王子様
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「いいですか! 静さんに当てようというものは敵味方問わず僕が排除します! むしろ静さんを守りなさい!!」
「いやいや。その静自身が敵だから。敵に塩どころか砂糖送ってどうすんだよ!」
「んふっ、そんなことは関係ありません。僕の駒は静さんの駒ですから」
「なぁ……こいつ最低なこと言ってるけどさ、ルドルフはこいつに任せて本当にいいのか?」
観月のあまりの言い様に怒りに震えながら霞がルドルフ生たちに問えば、そこには諦めた顔をした部員たちがいた。
「別に今に始まったことじゃないだーね」
「こうなった観月は止めようがないし…」
「何より慣れましたし…」
「そして五百蔵、一応部長は俺だ」
「……なんか、いろいろごめん」
霞はなんだか切なくなった。観月に振り回される姿が、幸村に振り回される自分に重なったのかもしれない。
もうその点においてああだこうだと言うのはよそう。悲しきかな。幸村を幼馴染に持った霞は何を言っても無駄と言うことを痛いほど理解していた。
「お前たちも苦労してるんだな……よしっ! ならせめて! このメンバーで枕投げの頂上(テッペン)目指そうじゃないかっ!!」
「五百蔵先輩…!」
「五百蔵……お前というやつは…! ああ、勝ちにいこうっ!! ほら、お前たちも!」
「「「おー!!」」」
きっかけがきっかけだが、ここは言いっこなしだ。今ここで、確かに友情が生まれたのだから。団結力では一番だろう。観月は相変わらず静に夢中で聞いちゃいないがこの際無視だ。
「赤也ー! 覚悟っ!!」
「ええ!!? なんで俺なんスか!? 狙うのは瀬戸内ですって!」
「細かいことは気にするな! いっくぞー!!」
「ちょっ! たんまっ!!」
「たんまなしー! どりゃあっっ!!」
「うわぁぁあああっっ!!」
見事顔面に命中したかと思えばそのまま切原は後ろに吹っ飛んだ。
周りが目を見開く中、霞はスッキリしたと溢れんばかりの笑顔を振りまいた。
「ゲホゲホ……ホント、容赦ないんスから。今度はこっちから行くっスよ!!」
「おう! 掛かって来いっ!」
吹っ飛ばされたのにも拘らず、勝負を挑む切原は流石と言うか何と言うか……むしろ輝いている気がする。
やっぱりこの二人はいい先輩と後輩なんだろう。
「五百蔵…霞先輩……」
見つめる純粋な瞳には、枕投げに夢中な霞は気づかなかった――。