Strawberry mix
□魔法の言葉
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今日静かな朝にアラームが部屋中に鳴り響く。それに若干イラつきながらも、朝食を作るために眠いのを我慢して起き上がる。睡魔を追い出すかのように大口を開けて欠伸をしながら思いっきり背伸びをした。
「ふぁ〜……さて、頑張りますか!」
カーテンを開けてみると、とてもいい天気だった。
「…………遅い!」
支度をしてキッチンへ足を運ぶと、そこにはまだ誰もいなかった。その5分後くらいに瑠璃が来て、それから30分たっても誰も現れなかった。
流石に2人だけで作ることは不可能だし、瑠璃は料理がからきしだから実質1人で作ることになる。生憎、心愛や静のような技術は持ち合わせていないため、協力者が必要なわけだ。
「仕方ない…こうなったら起こしに行くか」
「え!? 起こしに!?」
「そうするしかないでしょ。何か問題でもあるの?」
「あ、そうじゃな……くもないですけど……」
「?」
目をパチクリさせる瑠璃を不思議に思って聞いてみたら、少し頬を上気させて……
「心愛ちゃんたちの寝顔を見れると思うと……私!! 心臓が――」
「あーうん、分かった。もういいから。ほら、置いてくぞー」
「あ! 霞先輩、待ってくださーいっ!」
昨日の今日で望月瑠璃という人間を大方理解したあたしは、皆まで言わせることなく歩き出した。
悪い子ではないんだ。悪い子では。ただ、ただ少し……女の子が可愛いだけなんだ。多分……おそらく。
「すぅー……すぅー……」
「……やっぱり寝てたか」
最初に一番部屋が近かった静の部屋に入ってみれば、そこのは案の定爆睡中の静がいた。
「わぁ……かっわいい…!」
まあ、今回は瑠璃に同意だ。観月が過保護なまでにご執心中の静の寝顔と言えば、癒し系美少女と言う言葉がしっくりくる容姿がいつもの3割増しで可愛いのだ。
なんかこう……起こしたくなくな――ハッ! いかんいかん! そう、あたしたちにはやるべきことがあるんだ!!
あたしは寝かせておきたい衝動に打ち勝ち、心を鬼にして叫ぶのだった――。
「起っきろーーっっ!!!」
「ふぁ〜あ……おはよぉ…ござい、ます…」
「おはよう、静ちゃん!」
「おはよう。って、言ってるそばから寝るな!」
「う〜…」
どうにかこうにか静を起こし、次は心愛と夏希を起こしに向かったのはいいが――。
「いない…」
部屋に向かってみると、心愛も夏希もいなかった。
「もしかしたらキッチンにいるのかも…」
「まあ、確かに。じゃあ戻――」
「二階の手前から2番目の部屋」
「静?」
「そこに夏希ちゃんはいると思う」
「「え」」
瑠璃と声が揃った。それもそうだ。だって、そこは――
「男子の部屋じゃん」
そう、男子が使う部屋なんだ――。