Strawberry mix

□想
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「お疲れさま」



心愛と話をした後、夕飯を作りに戻ったとき、不意に労いの言葉がかけられた。
振り返れば、そこには眩しい笑顔の彼がいた。





「佐伯さん……」


「驚いたかな? たまたま成瀬さんの姿が見えたから……つい、ね」


「はぁ……」



つい、と軽くウィンクをする姿はなるほど千葉のロミオという名に相応しく様になっていたけれど、それで可愛らしく頬を赤らめたりはできなかった。
いつも通り、無表情な私に気にした風もなく、彼は相変わらず爽やかだった。





「まぁ……いろいろ大変だろうと思うけど、何かできることがあれば遠慮なく言ってね」


「……ありがとうございます」



それは心愛の事だろうか。言われたわけではないのになぜかそう感じた。
きっと彼に他意はないんだと思う。ただ単に、これだけの選手のサポートは大変だろうと、それだけのことだと思う。
ならば、導き出した答えは一つ。私がそれだけ……心愛のことを気にしてるってこと。





「うん、約束だからね」


「……はい」



「約束」それはあの子たちを連想させる言葉。
似ているようで、まったく違った私たち。
それは一種の呪縛のようで……けれどどこか温かいものだった。
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