【短文】

□【お前のち●こを貸せ】
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そもそも、これは悪巫山戯の延長だった。

とある不良少年の家で、その類友四人。
計五人が、AV観賞。
見終わり、少しして少年Bが『彼女に使ったら凄く乱れた』と、小瓶に入った性器に塗るタイプの媚薬を意気揚々と御披露目。

誰とは無しに勝負して罰ゲームに、それを使ってやろうと言い始め、乗りに乗った五人。
結果は、少年……高坂 星来(こうざか せいら)の一人負け。
仕方無く、彼は皆に背を向け、媚薬を肉棒に塗り付ける事となった。
のだが、バイの友人Cが、コンドームを指に装着し『尻の穴にも塗るべきだ』と言い出し、事態は急展開。

やっちまえ……とばかりに周りが調子に乗り、囃し立て始め。
強引に押さえ付けられ、後穴に塗られ、挙げ句『指が滑った』と直腸内にまで塗られてしまい、取り返しの付かない事になってしまった。


「すまん。悪かったってー。ふざけ過ぎた」

「くっ、ふーッ、ふーッ、マジ……洒落に為んねぇーぞ、これっ」

「そーんな、キツイか?」

「勃起し通しだっ」


星来が、キッと恨めしそうに、友人C……元い家憲(いえのり)を睨み付ける。
肉棒も直腸内も熱を持ち、掻痒感が襲い、辛くて仕方が無い。
星来の目は涙目になり、頬は紅潮し、息は乱れ、肌は粟立ち、躰が震えに震えていた。


「俺が塗ったんだし、責任取るぞー? アナルセックスならした事あるしな」


家憲は、バイだ。
これは周知の事実で、しかも彼はアナルセックスもした事があると普段から、豪語していた。
故に、さらっと言い、星来に寄ろうとした。


「嫌に決まってんだろっ!! ヤリチンのお前には頼まねぇっつーのっ!! それにお前の性癖、ド変態じゃねぇーか。縛ったり、ケツ叩いたり、首締めしたり、しょんべんさせたりっ!!」


男子高校生ともなれば、エロトークはする。
よって、友人の性癖を知っていた星来が、心底嫌そうな表情を作った。
兎に角、楽には為りたいが、家憲には頼みたく無い。
何をされるか、分からないのだから。


「親友のお前には、しねぇーってー」

「俺の親友は幼馴染みの唯知(ゆち)だけだ。つーか、変態プレイしねぇーとか絶対ぇ信用ならねぇ」

「おいおーいっ、信用ねぇーな、俺」

「当然だろっ!!」


今し方、した事がした事なのだ。
信用しろと言う方が無理である。
ガルガル状態になった星来が、家憲を牽制する。
然うして、唖然としている残りの三人に目を移した。


「取り敢えず、お前ら帰れ。これからオナるんだからよ」


堂々宣言。
もう耐えられないと、星来が自分以外の四人に告げる。
自宅で良かった。
他人の家であれば、確実に家に帰るまで保たない。
それだけが、救いだった。
星来に言われ、四人が出て行った。
家憲は、最後まで相手をすると言い張っていたが、怒鳴って拒否し強制的に帰らせた。

これで漸く、自慰が出来る。
部屋に一人となった星来が、己の肉棒に手を掛けた。
途端、彼の意識は霧散し、目の前が真っ白に染まったのだった。




* * *




30分後。
星来は、隣の家に住む幼馴染み、唯知の部屋に居た。


「マジで、もう無理。お前のちんこ貸せ」

「はああ? いきなり何言ってんだ?」


突如、駆け込んで来たかと思えば、この台詞。
唯知は幼馴染みが悪いモノでも食べたのかと、ベッドで胡座をかきながら、半眼になった。
若干、引いてしまったのは仕様が無い。

星来は、親友の頬が引き攣っている事に気付いていたが、もう止まる事が出来なくなっていた。
衝動的になっていたのだ。
あれから、自慰もした。
後穴に指も入れ、一心不乱に掻き回した。
が、然し、二度果てても収まらなかったのだ。

しかも、奥の奥。
指の届かないところが、切なくなる程、苦しく。
かと言って、大人の玩具も無い為、どうする事も出来ず。
結果、彼は痒いところに手が届く孫の手の如く、親友の肉棒を借りようと決心した様だった。


「家憲たちと巫山戯て……っ」


かくかくしかじか。
何故、この様な状態になったのか、唯知に説明する。
話を聞きながら唯知は、途中、莫迦か……と言いたげな表情を作り、最終的に大息を吐いた。


「無理だな。男になんて突っ込めるか」


唯知が、出した結論はこれだった。
それもそうだ。
唯知は、異性愛者で同性は範疇に無い。
いくら、幼稚園からの付き合いである親友の頼みとは言え、聞ける訳も無い。
状況には同情するが、助けてやる道理も無いのだから。



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