【短文】

□【アゼッタ物語】
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ある時代──

ある場所。

とある大国にて。

それはそれは美しい、絶世の美女と言われるお姫様がおりました。

薔薇の香り≠ェ仄かに香る姫。

その姫の名は…………。

  ──アゼッタ──

眉目秀麗な彼女は、城に関わる人たちからも慕われ。
国民からも動物からも、大変好かれておりました。

彼女が微笑むと、皆が幸せな気持ちになり……。
彼女が歌うと、皆が天にも昇るような気持ちになりました。

大国は、六つの小国に囲まれ、その六つの小国が大国を守っておりました。

三つの小国には、王子が三人。
残りの三つの小国には、姫が三人おり。
それぞれの国の男女が、婚約をしておりました。

……そんなある日の事。
平和な国と謳われ皆が皆、何の不満も無く幸せに暮らしていた筈の大国が。

突如、キバを剥き豹変し。
王子が居る小国に攻め入ったのです。

何の予告も無く攻め入られた三つの小国は、あっと言う間に滅ぼされ。

……王子共々、殺されてしまいました。

それを知ったアゼッタ姫は。

ご飯も食べず、夜な夜な泣き続け……。

……………一週間後。

王子たちの後を追う様に………。

到頭、自室から身を投げ出し自害してしまいました。

彼女を失った大国は。

悲しみに暮れ……衰退してしまい。

その後、どうなったのかは。

  誰にも分かりません


………これが。

ある時代──

ある場所で起こった物語。


──アゼッタ物語──



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