【delicious×blood×charm】(デリシャス・ブラッド・チャーム)
□■第二夜■
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「コーヤっ!」
「はー、はあっ、はーっ」
「やっ、ぃ、嫌だっ、コーヤ!」
コーヤの手が、朋のワインシャツに伸び、左右に引っ張られた。
糸がブチブチッと切れた音と共に釦が四方に飛び散り、朋の首筋が露わになった。
「はー、はあ……っ」
「あっあっ、晃哉、止めろっ、コーヤ!!」
朋の首筋からコーヤの目が離れなくなった。
コーヤは顔をその首筋に近付け、口をガッと開いた。
「────ッ!」
噛まれると思った朋は、身構えた。
が、その瞬間、朋の首にぶら下げられていた御守りが、コーヤを拒絶するかの如く、ぱああっと神々しく光った。
ドゴォッ!!
「う゛ぐッ!! かはッッ!!」
派手な音が部屋に響いた。
コーヤの身体が、御守りの力により強制的に朋から引き剥がされ、吹っ飛び、部屋の壁に衝突した。
強かに背中を打つけたコーヤは、膝を付き、肩を落とし、痛みから顔を顰めた。
「いって〜っ」
「はっ、はあー……コーヤ?」
「あー、流石、ジジィの力が注がれた御守りだな。つーか、すまん……っ」
俯いていたコーヤが謝りながら、心配無いと片手を上げた。
コーヤの姿は眸以外、元に戻っていた。
回復力の高い吸血鬼である彼は殆んど痛く無くなった体を起こし、立ち上がった。
そうして、上体を起こしていた朋の前に、膝を付いた。
「ジジィの言う通りだったな、正直舐めてた」
コウモリの姿で絶対吸う様に忠告していた祖父の事をコーヤが思い出す。
祖父の言っていた事は、正しかったのだ。
「正か、全部持ってかれるとはな」
「……そんなにか?」
朋は己を見下ろすコーヤを見ながら、恐る恐る訊ねた。
コーヤはその質問の意味を理解し、ふっと笑った。
「ああ、スゲェ美味かった」
「っ」
眸は紅い儘、目を細めたコーヤに朋は息を飲んだ。
途端、ドクンッと早鐘を打った心臓。
身体の奥の奥から熱がブワッと溢れ出した。
「へっ?! あ……れ? か……らだが……っ?」
徐々に上がる息。
疼く下腹部。
頬は上気し、目には涙が滲む。
「……朋」
原因が分かっていたコーヤが朋の頬を右手で撫で、困った表情を作る。
「っ、な……んだ、? コーヤっ、俺の体……おかし……っ」
「あー、マジで、すまん。俺のせいだ。責任取るから怒んなよ」
「っ、どういう事だ?」
こうなった原因。
それが、コーヤにある。
その理由に思い当たる節の無かった朋が、首を傾げると、朋の頬から、すーっと手を首筋に移動させたコーヤが、そこを優しく撫で、口を開いた。
「吸血鬼はな、麻酔に似た成分と相手を欲情させる成分を出す事が出来んだ」
「は?」
「や、……つまりだな、コウモリの姿から俺が人の形に戻った時、どうやらお前に催淫効果のある成分を注いじまったみたいなんだ……」
「はあああ?!」
それは、本当に一瞬の事だった。
コウモリの姿であれば、祖父の言った様に催淫効果のある成分は分泌されない。
しかし、コーヤはコウモリから人の形に戻った刹那。
噛んでいた朋の指に、ほんの少量だがその成分を与えてしまっていた。
そのせいで、朋の躯は熱を持ち、何かを求める様に疼いていた。
「……っ、お前、調整出来るって……」
祖父とコーヤの会話を思い出した朋が、喉の奥から声を発した。
目は信じられないとばかりに、見開かれていた。
「や、だから、舐めてたって言っただろ」
「く、そっ、信じらんねぇ」
コーヤにとって、朋の血の威力は誤算だった。
完全に油断していた。
悪態を吐いた朋は、力が抜け始めた躯に気付き、軽く唇を噛んだ。
躯を支えている腕は、ぷるぷると震えていた。
「朋、責任は取ってやるから……良いだろ?」
「……責任って」
「分からねぇーほど、お前、子どもじゃねぇーだろ?」
「ざ、けんなっ、嫌だっ!」
責任の意味が分からなかった朋だったが、コーヤの含みある言い方に何の事だか、直ぐに察し、怒声を上げた。
コーヤはそんな朋に、紅く色付いた眸を向け、朋にとって残酷な言葉を口にした。
「悪ぃーな、朋。暴露するとな、お前の血に中てられて、俺自身、ヤベェんだ」
朋に宣言したコーヤは朋の脚に、己の股間を態と当て、軽く腰を揺らした。
「っ!」
脚に感じたコーヤの熱棒。
それは、明らかに硬さと熱を持っていた。
「っ、嫌だっ、コーヤ!」
コーヤの熱棒が勃っている。
その現実に朋は躯を戦慄かせ、頭を振って、拒絶の意を示した。
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