【delicious×blood×charm】(デリシャス・ブラッド・チャーム)

□■第二夜■
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「なあ、朋。一緒に気持ち悦くなろうぜ」

「っ、嫌だ、嫌だ! な、んで、お前、男はお断りだって、さっき言ってただろっ!」


吐息混じりの掠れた低くも甘い声。
熱の籠った眸。
視覚的にも聴覚的にも犯された気分になった朋の背中がゾクッと粟立つ。
朋は、コーヤの綺麗な真紅の眸に、魅入られそうになっていた。


「それについては前言撤回しとく、お前なら抱けそうだ」


コーヤは、自分がコウモリ姿になった時の朋の優しい眼差しに、何とも言えない心地好さを得ていた。
彼は気持ちを動かされていたのだ。
それに、彼は元来堪え性の無い下半身の持ち主だ。
それが暴走した結果、彼は事を我慢すると言う気を失っていた。


「ふ、ざけ……んくっ、触……んなあっ!」


首筋に置かれていたコーヤの手が項に回り、そこを撫でた。
ゾクゾクッと走った感覚に、朋は目を眇め、己を触るコーヤの右手を掴んだ。
と同時に、片腕では支えられ無くなった躯が、絨毯に沈み込んだ。


「っ、あ、くそっ、力が……っ」

「朋」

「や、嫌だっ、コーヤ、止めろっ!」


朋の身が絨毯に倒れた事で、コーヤがその躯に覆い被さる。


「あっ、何で、御守りが反応しねぇ……んだっ!」


上から熱情の目線を向けられた朋は唇を震わせ、右手で御守りを握り締めた。
しかし、御守りは、うんともすんとも反応を示さなかった。


「朋、悪意が無ければ、御守りは反応しねぇーんだろ?」

「っだから何だよ!!」

「今、俺はお前をこの状態から楽にしてやる事を一番に考えてっから、御守りが反応しねぇーんじゃねぇか?」

「っ」

「ま、自分も気持ち悦くとは思ってるが、責任を、って思ってんのも事実だからな」


コーヤは今、心の底から朋が催淫状態から楽になる様に……と思っている様で。
そこに嘘偽りは無かったのか、御守りはその思いを汲んでいた。
これでは、いくら嫌がっても、コーヤに犯される。
現状に、朋は催淫効果も手伝い錯乱状態に陥った。


「あっ、嫌だ、嫌だあ! 嫌だって言ってんだろっっ!!」

「朋」

「も、ざけんなっ! 嫌だっ!!」


力の抜けた躯を必死に動かし、朋は抵抗した。
しかし、コーヤの躯はビクともせず、逆に暴れる両腕を捕らえられた。


「仕方ねぇ、朋、もっと訳分からなくさせてやるよ。それに、まだ50も貰ってねぇーしな」

「は? え? あっ、やめろ、やめろ──ッ!!」


雄の色を滲ませながらも、真剣な眼差しになったコーヤが、朋の首筋に顔を埋める。
何をされるのか察した朋は、蒼白になり、唇を震わせ叫んだ。
牙を出したコーヤが、ガブッと朋の首筋を噛むと、朋の喉が引き攣れた。
刹那的な痛みに朋は顔を歪ませ、天井を薄く開けた目で見ながら、拳を握り締めた……瞬間。


「────っ! はっ、あっ、あっ、な、んでっ!」


噛まれている部分から、ゾクッと性的な快感が生まれ、朋は目の縁を大きくした。
首筋から発生したその感覚は、項から頭に、そして、そこから朋の全身を電気の様に駆け巡った。


「んくっ、はっはあっ、ぃや……っ、だ、コーヤ、触っんなあ!」


朋の血を味わいながら、コーヤの左手がワイシャツの下に着ていた朋のシャツを捲り、露わになった胸元を撫でる。
過敏になった朋の躯はそれだけの刺激でビクンッと跳ね上がった。


「あっ、やだっ、嫌だっ!!」


気持ちは暴れたいのだが、躯が最早言う事を聞かない。
全身脱力感に襲われていた朋は、口でしか拒絶出来なくなっていた。


「はっ、ひあっ、あっあっ、くぅ!!」


コーヤの指が朋の乳輪を摘まみ、グリグリと捏ねる様に動く。
右手を動かしたコーヤは、朋の熱棒に触れ、反応してる事を確かめ、目元を緩めた。


「っ、ぃや……だっ、コーヤ、止め……っ、うくっ!!」


何処を触られても、脳が快感と認識する。
全身が性感帯になった様な感覚に朋の思考は、溶けそうだった。


「ぅ、んくっ、んあっ、嫌……なのにッ、くうっ、っ!!」


嫌で嫌で仕方が無い行為。
しかし、躯はそんな朋を嘲笑うかの様にそれを甘受しようとし、眼前の人物を求める。
その事実に、朋は奥歯をグッと噛み締めた。


「朋、口を開けろ」


朋の首筋から口を離したコーヤが、朋の頬を両手で挟み、その顔をじっと見詰めた。
コーヤの牙は、既に人間並みに戻っていたが、彼の口元には真っ赤な血が色濃く残っていた。



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