【delicious×blood×charm】(デリシャス・ブラッド・チャーム)

□■第二夜■
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「なっ、く、そっ!」


手が絨毯に縫い付けられたかの様に動かなくなった朋は、ぎりっと歯を噛み、コーヤを涙目で睨め付けた。


「そんな目すんな」


ぶるっと震えるコーヤの躯。
加虐心が煽られ、滅茶苦茶に犯したくなる衝動と戦う。
真紅の眸を閉じた彼は、はーっと息を吐き出し、一度自身の心を落ち着かせた。
彼は、朋を傷付けるつもりは一切無かった。


「朋、躯が苦しくて仕方ねぇーだろ? 無理すんな」

「っ、それでも……嫌だっ」

「分かった。挿入ねぇーから。気持ち悦くしてやるだけだから」

「…………」

「楽になりたいだろ?」


悪魔の囁き。
すとんと落ちた言葉に朋の心が揺れ動く。
その証拠に、彼の目は泳いでいた。
挿入されないのであれば、男としての矜持は護られる。
稀に、男同士でAV観賞をして飛距離の競い合いをした。
出し合いをした、などは聞く。
それならば……と、朋は渋々だが頷いた。
早く、この躯の疼きから解放されたいのも本音ではあるのだ。
しかし、朋はこの決断が間違っていた事に、後々気付く事になる。
そもそも、男同士でキスをする事など無いのだ。
この時彼は、やはり催淫効果のせいで冷静な判断が出来無いでいた。
それは、朋の血に中てられたコーヤもそうだった。
朋の返事を受け取ったコーヤは、赤い舌を出し、朋の咥内にそれを侵入させた。


「ん、んぶっ……、ん、っ」


ヌルッとしたモノが入って来た感覚に、朋は目をギュッと閉じ、鼻から抜けた吐息を溢した。
コーヤは、朋の唾液をじゅるっと吸い、躊躇い無く飲み込んだ。
舌に感じた甘くも、欲を刺激する味。
コーヤは蜜を集める蜂の如く、朋の咥内を貪った。


「んッ、ンン──っ、んっ!」


唾液を掻き集める様に蠢く舌に、朋の肩がびくびくっと跳ねた。
コーヤは未だ足りないとばかりに唾液が溢れ出す源泉を舌で刺激し、溢れ出した側から、それを啜った。


「んん──っ、くっ、ぷはっ、はあっ、はっ、お前なっ!」

「あ、悪ぃ、悪ぃ、あまりにも美味くて」

「〜〜〜〜っ」


欲の儘、唾液を飲み干そうとしたコーヤに、朋が目付きを鋭くすると、コーヤが軽く謝る。


「や、だって俺、腹減ってたし」

「…………」


コーヤの言っている意味が分かった朋は、これ以上責められ無くなった。
飢餓的状態にあったのだ。
過食気味になっても仕方が無い。
それに、これ以上、血を飲まれるよりも、未だマシだ。
そう思えば気分も落ち着いた。
が、しかし、朋はこの時一部、勘違いをしていた。
朋の血。
それを味わったコーヤは、一舐めしただけで、血への渇望が充分過ぎる程、満ち足りた事に気付いた。
そう。
極上の血は、通常と違い少量で、吸血鬼の喉の渇きや疼きを止める事が出来たのだ。
となると、何故未だ食そうとするのか? という疑問が浮かぶ。
それは、やはり朋の全てが魔物にとって魅力的だったからだ。
欲が際限無く溢れてしまうのだ。
極上の味には、理性が効きづらくなる。
それが、この血の恐ろしいところでもあった。


「下、楽にしてやるよ」


コーヤの手が、朋のスラックスに触れる。


「っ」


朋は緊張から喉を震わせながらも、コーヤの手を掴んだ。


「い、いい、自分でやる」


コーヤにされるのは気恥ずかしかったのか、彼は手を動かし、自らベルトを外そうとした。


「あ、くそっ。は、はあっ」


のだが、何時もなら簡単に出来る事が出来ない。
力を出そうとしても、直ぐに絨毯に吸収された様に抜けて行く。
それに、気付いたコーヤが朋に手を差し伸べ、ベルトを外し、チャックを下ろし、下着を下ろした。
すると、待ってましたとばかりに、朋の熱棒がぶるんッと反動を付けて飛び出して来た。


「ははっ、スゲェな」

「っ、くっ、言うなっ」


ドクドクと絶え間無く溢れ出す蜜。
今にもはち切れそうな嚢。
脈を打つ熱の籠った棒。
少し触れば、瞬時にイッてしまいそうな程、高まっていたそれは外気に触れ、心無しが喜んでいる様にも見えた。



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