【短文】

□【お前のち●こを貸せ】
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「……だ……から、ちんこ貸せって……言った……だろっ!」

「はははっ。残念だったな、星来。これは、れっきとしたセックスだ」

「────ッ、お……れは……、お前の為に……っ!」

「ああ、そういう事か。『これはセックスじゃ無い。ただの人助けだったんだ』って後で言うつもりだったのか」


これは人助けであってセックスでは無い。
人工呼吸はキスとは違う……そう言った意味と同じ意味に、星来はしたかったのだろう。
だが、然し、予想に反して唯知が腰を動かしてしまった。
これでは、唯知が気持ち悦くなってしまい、射精してしまう。
それではセックスになってしまい、後から、頭を抱える事になる。

それは、絶対に避けなくては。

星来は相当焦ったのか、唯知の腹に両手を付き、必死に肉棒を抜こうとした。


「くっ、うくっ、だ……から、もう腰振んの、止め……っ」

「もう、止まんねぇーよ」

「んくっ! んっ、あっ、ぉ、あっ、ふっ、あっあっ、ぁあっ!!」


ズプッ、ズプッと奥を穿つ強烈な突き上げに、星来の目の前が霞む。
躰が過敏になっている状態での容赦の無い責めに、意識が遠退いた。
声を出さないと約束したのに。
我慢など出来なかった。


「……お前、結構良い声で啼くのな」


普段からは、考えられない親友の甘く蕩けた声に、雄の本能が刺激される。
この声を出させているのが自分だと思うと、男として悪い気はしなかった。


「は、うっ、ち、違ぇッ、媚薬のせいだッ!!」


カッとなった星来が、眉を上げた。
恥ずかしさから、彼の顔は林檎の様に真っ赤になり、躰がプルプルと震えていた。


「……あー……、顔……見てぇーな」


騎乗し、快楽に酔っているであろう親友は、今どんな表情をしているのだろうか。
唯知は無性に気になった。


「……アイマスク取んぞ」


どうしても、気になった唯知がアイマスクに手を掛ける。


「うえ? あっ、ちょ……っ、駄目……だっ、絶対ぇ、現実に戻って、萎えるだろーがっ!」


すると、慌てた星来が唯知の目に両手を伸ばした。


「んあっ、ちょっ、ぅああッ!」

「顔、見せろ」


アイマスクを外したのは良いが、両目を星来により塞がれてしまった。
苛っとした唯知が、パンパンッと音が鳴る程、速い律動を繰り出した。


「うっ、んっ、んぅ、っあっ、くっ、ひんっ、んくっ、嫌だッ!」

「見せろ」

「くっ、うっ、ぅあっ、くっ、いーやーだ!! 気持ち悪いってなんぞ、絶対っ!」

「ならねぇから、見せろ」


業を煮やした唯知が快楽により、力の入っていない星来の両手首を掴み、左右に広げさせた。
が、然し、顔が見られると思った矢先、星来が顔を唯知の胸元に埋め、隠してしまった。
その行動に、唯知がピキッとこめかみを引き攣らせた。
どれだけ見られたく無いと言うのだ。
若干、キレ気味となった彼は星来の両頬を挟み、半ば強引に顔を上げさせた。
然うして、自分の方を向かせ、その顔をじっと見詰めた。


「っ、はっ、何つー、面してんだ。トロットロじゃねぇーか」


焦点は合っているものの、気持ち悦さそうに、とろんとなった瞳。
涙によりキラキラと光る睫毛。
桃色に染まった頬。
反抗的に上がった眉。
口の端から少し垂れた唾液。
淫蕩を隠しきれていないその表情に、唯知の喉仏が上下する。
心臓がドクッと一際大きく鳴り、獲物を見付けた猛獣の様に目がギラッとなった。


「な……んでっ……顔見んな……よっ! 見んじゃねぇ!!」

「…………」


──こいつ、態とか? いや、そんな器用な事出来る奴じゃねぇーな。


「……あー、くそっ、萎えるどころかギンギンになっちまった」


顔を見られ動揺し、半泣きになった星来に、唯知の加虐心が芽を出した。
彼には、加虐趣味など無い筈なのだが……。
反抗的な態度で、また顔を隠そうとする仕草に煽られ、喘がせ、泣かせたくなった。


「!? ンあ゛っ?! なっ?! 何でビクッってなって、大きくなってんだっ!」


唯知の肉棒が何故か脈打ち、ピクピクッと痙攣したかと思えば、膨張した。
ナカで感じた違和感に、星来が戦々恐々となった。


「お前がさせたんだろ」

「はあ?!」

「俺、食わず嫌いなだけで男もイケたのか。それとも、お前だから抵抗無くイケてんのか……」


男である星来の感じている声を聞いても、表情を見ても、全くと言って良い程、萎えない。
と言うより寧ろ、煽られ、欲情してしまっている。
する前は、あんなにも抵抗心と拒絶心があったと言うのに。
これは、星来だからなのか、潜在的に男がイケたからなのか。
他を試してみないと分からないが、取り敢えず、星来の場合は全く問題無く、イケる。
なら、キスはどうなのだろうか。



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