【短文】

□【親友を揶揄ったら鳴かされた】
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「んぐっ、んっ、くうッ!」


幸義は焦り、両手で口を塞いだ。
彼は眼前で腰を振っている相手を睨み付けた。
なのに、爽詩は何処吹く風状態だった。
ふっと厭らしい笑みを浮かべていた。


「エロいな、お前。親友でも知らない事あったんだな」


目尻に涙を溜め、睨む親友に爽詩の肌がぞわぞわと性的に粟立った。
それだけで彼はイキそうだった。


「っ、俺も、こんなお前知りたくなかった」

「俺ら親友だろ。もっともっと俺の事教えてやるよ」

「もう……これ以上はいい」

「遠慮すんじゃねーよ、おらっ!」

「んぐッ!」


奥の奥に、ドスッ!と打たれた一撃。
強烈な刺激に、幸義の目の前がちかちかと明滅した。


「俺の形、しっかり覚えておけよ」

「誰が覚えるかっ!」

「お前に言ってねぇーよ。この優秀なケツマンに言ってんだ」


幸義のナカはどうやら爽詩にとって優秀な様だった。
爽詩の肉棒を絶妙な強さでぎゅっと締め付け、愛撫していた。


「お前っ、最低な奴だったんだなっ!」


聞くに堪えない台詞に、幸義の眉が上がる。
彼は耳を塞ぎたくなった。


「セックス中、人が変わるってフツーだろ」


確かに性交中だけ、性格が変わる人間も居る。
普段ツンツンしている女性が、その間だけ可愛くなるという話はよくある話だ。


「お前の場合、変わり過ぎだッ!」


が、爽詩の場合は変わり過ぎだった。
彼は、彼女こそ取っ替え引っ替えだったが、根は真面目だった。
だからこそ、別れ方も上手く諍いが無かった。
幸義は信じられなかった。
親友がこんなにも豹変するとは思いもしなかった。


「これじゃあ、俺、性の捌け口じゃんか」


幸義は惨めな気持ちになった。
別に愛されたいと、そんな気持ちは無かったが、利用されるのは嫌だった。


「くっ!」

「は?」


突然、呻いた爽詩に幸義はきょとんとなった。
一体、何が起こったのか彼には分からなかった。
彼が分かったのは、ナカでびくびくと痙攣する肉棒の感触だけだった。


「あー、嘘だろ。台詞と視覚でイッちまった」

「え、お前……」


人が悲しく、泣きそうになっていると言うのに。
空気を読まず、果てた爽詩に幸義は二の句が継げなくなった。


「正か、こんな間近に俺のツボにハマる相手が居たなんてな」

「何言って……」

「堪んねぇーな」

「爽詩……?」


嬉々としている爽詩に、幸義は畏怖の心を抱いた。
何故、眼前の男は獲物を見付けた肉食獣の様な目をしているのか。
理解に苦しんだ。


「んうッ!」


ナカに収まっていた肉棒が抜かれ、声が洩れた。
幸義自身分かる、ひくひくと動く後孔。
未だナカにナニかが埋まっている様な感覚もあった。


「ふ、う……っ」


幸義は一息吐いた。
彼の脚は力が入らず、がくがくと震えていた。
これは恐怖から来るものでは無く、脱力感から来るものだった。


「……は?」


疲労困憊に、ぼうっとしていると、またしても膝裏を持たれた。


「爽詩?」


見ると、そこには「はあはあ」と息を荒くした親友の姿。
後孔には再び、肉棒が宛がわれていた。


「今度は生でヤッてお前んナカ、俺の精子でいっぱいにしてやるよ」

「はああ?!」


意味が分からず、素っ頓狂な声が幸義から出る。
と、同時に彼は爽詩により貫かれた。


「あぐっ! んッ、ああッ!」


間髪を入れず、始まったスラスト。
呼吸が儘為らず、口を押さえる暇も無く、幸義は喘ぎ、鳴いた。


「ひッ、あッ、速いッ、ぃやだあッ!」


先ほどとは打って変わった激しい動きに、幸義は付いて行けなかった。
思考は霧散し、頭の中が真っ白になった。


「んっ、ふくっ、嫌ッ、あっ、やめてっ、嫌だッ!」


ぐちゅぐちゅ、ぱんぱんと結合部から鳴る濡れた音と乾いた音。
拒絶の声と荒い呼吸。
それらが部屋に響き、壁に溶け込んでゆく。
幸義は何処かに縋りたいと、爽詩に無意識に抱き付いた。
爪を立て、悶える。


「い゛ッ、んむっ、んッ、んんッ!」


一瞬感じた唇の痛み。
爽詩が幸義の下唇を噛んだのだ。
爽詩は、直ぐ幸義の咥内に舌を捩じ込ませ、中を縦横無尽に犯した。
唾液線を刺激し、唾液を啜り、歯の列をなぞり、上顎を擦れば、幸義から「はあっ」と抜けた声が洩れた。


「はっ、はあっ、も、無理ッ、苦しいッ!」

「苦しくねぇーだろ、おらっ、イケよ」

「んぐっ、やめッ、触んなあッ!」


イカせようと爽詩が、幸義の肉棒を握り優しく扱きながら、前立腺を責める。
体液を溢れさせる鈴口に親指を立て、くりくりすると、幸義の顎が反った。


「あくっ、あッ、どっちもとか……無理だッ、ぁああッ!」


二ヶ所同時に責め立てられ、幸義は呆気なく果てた。
鈴口から飛び出した精液は放物線を描き、彼の腹にぱたぱたと落ちた。



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