恋の風吹く鬼狩り伝

□弟弟子
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『善逸が最終選別を突破した』、恩師で
ある育手から久方振りに送られた文には
そう綴られていた。
『壱ノ型しか覚えなかった』だの『突破
早々死ぬ死ぬ煩い』だの、後半は小言で
埋め尽くされてるけど突破した事を先に
書く辺り1番嬉しいのは御爺ちゃんだと
思う。

1「あいつも、とうとう鬼殺隊なのね。
才能は十分あるし大丈夫でしょうけど」

私が隊士として旅立つ前は何かある度に
『姉ちゃん!! 姉ちゃん!!』と泣き
喚いては、御爺ちゃんに蹴っ飛ばされて
半べそで修行してた善逸。
他人の嘘を看破出来る癖に良くも悪くも
真っ直ぐで御人好しな弟弟子は、きっと
相変わらず女に求婚しては引っ叩かれて
ギャアギャア泣いてるんでしょうね。
煩い馬鹿が旅立ったなら、あの家は随分
静かになると思う。
御爺ちゃんも怒鳴る相手が居なくなって
寂しいかも知れない。

1「…気が向いたら、文の1通くらいは
送ってあげようかしら」

そんな事を思いながら数枚の紙を懐へと
仕舞い、私は次の目的地に向かって足を
進めた ───
 

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