恋の風吹く鬼狩り伝

□容認か、切腹か!?
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冨岡・しのぶ・彩花が本部に到着すると、
殆どの柱が既に集結していた。
金髪と赤い毛先に、燃え盛る炎のような
羽織が特徴的な炎柱の煉獄杏寿郎。
桜餅を彷彿とさせる髪色が可愛らしく、
胸元が大きく開いた隊服を着用している
恋柱の甘露寺蜜璃。
額当ての派手な装飾がギラギラと眩しい
伊達男、音柱の宇髄天元。
手に持った数珠をジャリジャリと鳴らす
鬼殺隊最強の隊士、岩柱の悲鳴嶼行冥。
僅か2ヶ月で柱まで上り詰めた、霞柱の
時透無一郎。
木の上から様子を窺う口元を布で覆って
いる、蛇柱の伊黒小芭内。
孰れも個性的な曲者だが、強い正義感と
確かな実力を兼ね揃えた鬼殺隊切っての
精鋭達である。
一方で隠の後藤に怒鳴られ目を覚ました
炭治郎は、柱の面々に囲まれて酷く困惑
しているようだ。

しのぶ「此処は、鬼殺隊の本部です。
貴方は今から裁判を受けるのですよ竈門
炭治郎君」

煉獄「裁判の必要など無いだろう!
鬼を庇うなど明らかな隊律違反!
我等のみで対処可能!
鬼諸共斬首する!!」

宇髄「…ならば俺が、派手に首を斬って
やろう。
誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。
もう、派手派手だ」

悲鳴嶼「…嗚呼……何という見窄らしい
子供だ、可哀想に。
生まれて来た事自体が可哀想だ」

伊黒「…そんな事より、冨岡と日ノ輪は
どうするのかね。
拘束もしていない様に、俺は頭痛がして
来るんだが…
胡蝶めの話に依ると、隊律違反は二人も
同じだろう。
どう処分する、どう責任を取らせる。
…どんな目に遭わせてやろうか、何とか
言ったらどうだ貴様等」

冨岡「……」

1「じゃあ逆に訊くけど、何か言ったら
その言葉に耳を貸してくれるの?
聞く気も無い癖に言うんじゃないわよ」

口答えをした彩花に伊黒は眉を顰めて、
彩花も負けじと睨み返す。

しのぶ「まあ、良いじゃないですか。
大人しく付いて来てくれましたし。
処罰は後で考えましょう……それよりも
私は坊やの方から話が聞きたいですよ」

炭治郎は真っ直ぐ前を見据えて禰豆子が
人喰い鬼でない事を訴えるが、誰も聞く
耳を持とうとしなかった。
甘露寺だけが当主である耀哉の到着まで
待機するよう提案した矢先、最後の柱が
産屋敷邸に現れた。

実弥「おいおい…
何だか面白い事になってるなァ」

隠「困ります、不死川様!
どうか箱を手放して下さいませ!(汗」

傷だらけの身体と血走った目、『鬼殺隊
最恐』と恐れられる風柱の不死川実弥。
そして彼の手には、禰豆子が入っている
木箱。

しのぶ「不死川さん…
勝手な事をしないで下さい」

実弥「一体全体、どういうつもりだァ?
鬼が何だって坊主ゥ、鬼殺隊として人を
守る為に戦えるゥ?
そんな事はなァ…
有り得ねェんだよ、馬鹿がァ!!」

バキンッ!!

実弥「…!?」

一瞬の出来事だった。
刀を抜いた実弥が木箱を突き刺す直前、
彼の懐へ潜り込んだ彩花が蹴りで刀身を
圧し折った。
折られた刃は縦に回転しながら宙を舞い
地面に突き刺さる。

1「…度が過ぎるのよ、アンタは」
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