妖魔の現代的恋愛奇譚

□雪山の攻防
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飛騨の山中に位置する妖怪刑務所。
その近くでは、黒鴉率いる天狗ポリスと
ぬらりひょん奪還を狙う旧鼠や蟹坊主が
交戦している。
天狗ポリスが数で征圧しようとするが、
蟹坊主の泡爆弾に因って、不用意に接近
出来ない。
その隙に前進する旧鼠と蟹坊主、しかし
不意に放たれた毛針が行く手を阻む。

旧鼠「だ、誰だ!?(汗」

鬼太郎「お前達は今更…
訊く必要無いだろう」

毛針に因る煙が晴れると鬼太郎を始めと
した猫娘・砂掛け婆・子泣き爺・塗り壁
一反木綿、そして新しく仲間に加わった
彩花も居た。

鬼太郎「ゲゲゲの鬼太郎」

猫娘「…とっ!」

砂・子・塗・一「その仲間達!!」

1「です!」

旧鼠・蟹坊主「Σげげげっ!」

黒鴉「鬼太郎殿! 皆さんも!」

鬼太郎「さあ、皆!
悪党妖怪共の大掃除だ!」

鬼太郎が先に崖から降りて先陣を切り、
猫娘達も続く。
再び泡爆弾を放とうとする蟹坊主だが、
鬼太郎が先手を打って泡を吐き出す前に
リモコン下駄で口を閉めた事で自爆して
しまった。
分が悪くなった二人は尻尾を巻いて逃げ
出し、天狗達が後を追う。

黒鴉「ありがとう御座います」

鬼太郎「話に聞いていた通りですね」

砂掛け「彼奴等ずっと、ぬらりひょんを
脱獄させようとしておったんじゃなぁ」

一反「本に諦めの悪か奴等ばい」

黒鴉「…でも、ぬらりひょんの刑が執行
されてしまえばそれまでですよ」

鬼太郎「最後まで油断は禁物です。
僕達も力になりますよ」

その言葉に皆が頷いた時、彩花は何かを
思い出したように懐を漁る。

1「黒鴉さん受け取って下さい、御約束してた霊界符です。
猫ちゃんさんに教わって作った物です、
上手く出来てると良いんですが」

そう言って懐から取り出したのは手製の
黒い霊界符。
礼と共にそれを受け取った黒鴉も首から
下げていた守り袋を差し出す。
彩花に返却されたそれは傷は愚か、汚れ
一つ付いてはいなかった。

黒鴉「彩花殿、ありがとう御座います。
それでは、これは御返し致します」

1「ありがとう御座います、黒鴉さん。
とても大事にしていてくれたんですね」

黒鴉「も、勿論ですよ!
彩花殿から頂いた大切な物ですから…
この霊界符も同様に、私の宝物です」

1「そう言って貰えて嬉しいです。
ありがとう、黒鴉さん(微笑」

黒鴉「は、はい… //」

猫娘「良かったね、彩花!
宝物だって!」

1「はい、これも猫ちゃんさんに教えて
貰った御蔭です」

猫娘「もう、彩花ったら!
褒めても何も出ないわよ〜?」

1「フフッ」

黒鴉「(嗚呼、本当に美しい方だ…)」

猫娘と睦まじく話している彩花の横顔を
黒鴉は、ずっと見詰めていた。
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