愛と欲望の地球侵略

□勇気と根性の秋
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楽しい夏休みは終わりを迎え、過ぎ去る
夏を惜しむような残暑が続く秋の午後。
下校途中の冬樹は憂鬱な表情で溜め息を
吐いている。

冬樹「はあ…」

1「どうしたの冬君? 元気無いね」

夏美「何かあったの?」

冬樹「うん、実は…」

経緯は不明だが、どうやら彼は運動会の
リレーにてアンカーを務める事となった
ようだ。

夏美「決まっちゃったもんは、仕方無い
でしょ?
頑張れば良いじゃない」

冬樹「姉ちゃんは、運動系が得意だから
そんな事言えるんだよ…」

1「巻き返しが出来る最初ならまだしも
アンカーは責任重大だからね(苦笑)
……でも中々無い機会だし、思い切って
取り組むのもありじゃない?
全力で頑張った人には…
誰も文句なんて言わないと思うよ?」

冬樹「そう、かな…?」

1「うんっ♪」

その後日、ケロロの善意(?)で特訓を
する事になった冬樹。
しかし常識外れな特訓内容は全く参考に
ならず、半ば諦め掛けていた。

冬樹「ハァ、ハァ…!」

ギロロ「どうした、もう限界か?」

冬樹「ギロロ…やっぱり僕、駄目だよ。
幾ら頑張っても無理な物は無理なんだ!
本番だってきっと……情けない姿を皆に
見られて終わりなんだ!」

ギロロ「……情けなくって何が悪い。
一等になる事が全てじゃあないだろう?
お前にとって重要なのは…
苦手な事に立ち向かって行く勇気だ!」

冬樹「勇気…」

ギロロ「…どんな辛い事にも飛び込んで
行く、勇気だ」

冬樹「……」

「全力で頑張った人には…
誰も文句なんて言わないと思うよ?」


ギロロ「フンッ…どうしようと、お前の
勝手だがな」

言いたい事だけを言って、鼻を鳴らして
去って行くギロロ。
冬樹は俯いて暫し逡巡した後、顔を上げ
前を向いた。

冬樹「ギロロ〜!」

その翌日から、二人の特訓が始まった。
ある時は腰にロープを巻きタイヤを引き
摺って走り、雨の日でも自転車に乗った
ギロロの前を走る。
またある時は背中にギロロを乗せたまま
苦しそうに腕立て伏せをし、リュックに
ギロロを入れて神社の長い石段を登る。
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