愛と欲望の地球侵略

□1年B組ケロ八先生
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ケロロ達の邪魔にならないように自分の
教室へ戻った彩花。
軈て下校時間になりB組の前を通ると、
誰も居ない教室で黒板の前に佇んでいる
ギロロが見えたので声を掛ける。

ガラ…

1「ギロロ君、そこで何してるの?
もう下校時間だよ?」

ギロロ「…!! 嗚呼、彩花か…
問題が解けるまで、此処で立ってるよう
ケロロから言われてな」

ギロロが顎で指した黒板には、ぎっしり
書かれた無駄に長い数式。
数学者でも解けるか疑問だ。

1「これ、ケロロ君が書いたの?」

ギロロ「ああ、全く適当に書きおって!
どうせ、自分も分からん癖にっ」

ブツブツと文句を言うギロロを余所に、
彩花は黒板を上から下まで見て行く。
すると数式の最後に、ある数字を見付け
答えに気付きクスリと笑った。

ギロロ「大体あいつは昔から…」

1「ギロロ君、ギロロ君」

ギロロ「ん?」

1「見てよ、此処」

指差された先に目を向けると、そこには
数式の最後に書かれた『×0』の字。
どれだけ長い数式を書こうとも、×0で
答えは全て0になるのだ。

N〘嗚呼…こういうの、引っ掛け問題で
よくありますよね。
まあ詰まり、そういう事です〙

ギロロ「あいつ…!(怒」

1「アハハッ、ケロロ君らしいね!」

ギロロ「はあ、全く馬鹿馬鹿しい…
無駄な時間を過ごしたではないか」

1「でも、解けて良かったね!
折角だから、一緒に帰ろ☆」

ギロロ「ま、まあ女の一人歩きは何処の
星でも危険だからな。
それに、お前に何かあっては夏美に何か
言われ兼ねん。
仕方無いから送ってやる」

1「うん、有り難う♪」

校門を通り、帰路に着く二人。
学校から出る前に、校庭や体育館を確認
して来たがケロロ達の姿は無かった。
恐らく彼等は、ギロロの事を忘れて先に
帰ったのだろう。

1「やっぱり居なかったね、ケロロ君」

ギロロ「分かっていた事だ。
あいつは餓鬼の頃から、ああだからな」

1「ふ〜ん……所でさ、ちょっと前から
気になってたんだけど…」

ギロロ「…?」

1「ギロロ君、夏姉の事が好きなの?」

ギロロ「Σんなァ!!? ////」

彩花からの不意打ちな質問に思わず足を
止めたギロロ、その顔はいつもより赤く
なっている。

1「夏姉、優しくて美人だもんねぇ」

ギロロ「ばっ、馬鹿を言うな!
軍人に浮ついた感情など不要だ! ///」

1「それは偏見じゃない?
軍人さんだって恋しても良いと思うよ」

ギロロ「そっ、そうだとしてもだな…!
ッ、俺と夏美はケロン人とペコポン人で
侵略する者とされる者……敵同士だ。
本来ならば今のように馴れ合う事すらも
許されん関係、色恋など以ての外だ」

1「敵同士じゃなかったら?」

ギロロ「…!?」

1「夏姉に『好き』って言う?」

ギロロ「〜〜ッ!! ////」

1「……やっぱり好きなんだね」

ギロロ「〜ッ!! 俺は…!
俺は、ケロン軍人だ!
ペコポン人を殲滅し、この星を侵略する
為に俺達は此処へ来た!
色恋沙汰など侵略の妨げにしかならん!
況してや、相手が敵なら尚更だ!」

1「そんなの、ただの言い訳だよ。
…戦わずに逃げちゃうなんて、ギロロ君
らしくないよ」

ギロロ「……」

1「例え敵が何者でも大切な人を全力で
守り抜く! 立場なんて、二の次上等!
しょうがないだろ、好きなんだから!
って、御父さんが言ってた」

ギロロ「……『しょうがないだろ』か…
その通りかも知れんな。
さっきは感情的になってすまなかった」

1「大丈夫だよ、気にしてない。
それだけ、ギロロ君が夏姉の事を真剣に
考えてるって事だから。
寧ろ、ちょっと安心した」

ギロロ「…安心?」

1「夏姉はね、頑張り屋さんなの。
仕事が忙しい秋さんの代わりに買い物へ
行って家事やって、やりたい部活も全部
我慢してるんだよ」

ギロロ「確かにな。
今となっては大半が、ケロロの担当では
あるが…
それを差し引いても学業と炊事の両立は
難しかろう」

1「うん…それに、弟の冬君を守る為に
喧嘩ばっかしてた時期もあるの。
今は当たり前かも知れないけど、夏姉は
強くなるしか無かったんだと思う。
だから夏姉とギロロ君を見て安心した。
…いざって時、夏姉を守ってくれる人が
近くに居たから。
……有り難う、ギロロ君(微笑」

ギロロ「…!! あ、ああ… //」

N〘家族だからこそ知ってる裏側。
夏美ちゃんを守り抜こうと改めて決意を
固める、ギロロ伍長でした〙
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