《古高俊太郎》

□ふぇちな旦那様〜古高俊太郎
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―口づけの前に唇をなぞるのは俊太郎さまの癖―


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《古高俊太郎》
「かいらしい子猫はん。あんさんから、前はせんかったえぇ匂いがしはる…これは伽羅の香や。」




《名無しさん》
「正解です!俊太郎さまに会えるのが嬉しくて初めて香を炊きました」




「気に入って頂けて…香焚いて良かった」なんて呟き、照れている私を、俊太郎さまが優しい眼差しで私を見つめた。


俊太郎さまの顔が近づいてきて、後頭部に大きな手の熱を感じた。



―私は瞳を閉じる



―次の瞬間…




―ちゅっ
柔らかい感触



《名無しさん》
「ん…ん…あッ」


何度も角度を変えて、深く私を求める俊太郎さま。


脳を駆け巡る甘い痺れと、俊太郎さまの声に、身も心も溶かされていく。



《古高俊太郎》
「ほんまにかいらしい。こんなに…………んッ…かいらしいと………」




眉を寄せ刹那そうな表情を浮かべ、うわ言のように呟く言葉が私を煽る…





《名無しさん》
「俊太郎さま…あ…あァァッッ…!」


私の唇を味わい尽くした俊太郎さまは、最後にわざと"ちちゅっ"と厭らしい音を立てて私の唇を解放した。

俊太郎さまの口づけは、いつも私の体を溶かしてしまうかのように、優しく熱い……




《古高俊太郎》
「わての、わてだけの、かいらしい子猫はん」



恍惚にも似た表情で、満足そうにに微笑み、力強く私を抱きすくめる…。




私を独占を主張するような意思を俊太郎様の腕に感じる…



抱き締められる度に、この人の力強い腕は私のための腕なんだと、何度も確信を与えてくれるので安心した。




《名無しさん》
「もう一回…もう一回言って」



自分を抱きすくめる腕に応えて、俊太郎さまの背中に腕を回す。




《古高俊太郎》
「…。わての可愛い子猫はん。わての大事な大事な娘はん。わてだけの天女はん」


俊太郎さまのすこし低い声が私の耳を掠めて…



私の頭を痺れさせる…




《名無しさん》
「――――――っ!」



頬は紅潮し、心臓の音は自分の物ではないと思えるほど煩い。





《古高俊太郎》
「どうどす?名無しさんはん満足しはった?」


ジリッ…と私の方へ膝を一歩進めて距離を詰めてくる俊太郎さま…




さらに私の指に、自分の指を一本一本絡めていく。



―俊太郎さまのしなやかで長い指先、男の人だなぁって思う大きな手が…




一本一本、私の指に絡まっていく光景……





ドキドキし過ぎて最早息も出来ずにいる……



心も思考も溶かされて、うなだれるように、俊太郎さまの肩へ、頭をもたれさせる。




《名無しさん》
「……はい…俊太郎様の声で、まるで心が春が来たようです」



《古高俊太郎》
「…わての声でどすか…?あははっ、面白い事をいわはる人やな…まだ冬やのに?」



悪戯っぽく目を細めるが、その目の妖しい色気は私を放さない。



《名無しさん》
「俊太郎さまの声だからです。愛しさで胸がほかほかして…るんじゃないでしょうか?」



そう言い、私は頬を染めた。


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