テニスの王子様《短編》
□赤鬼
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「……ま、待ってよ!」
俺は紗羅先輩に呼び止められた。
「……なんスか……」
不機嫌な声を、隠そうともしなかった。
暑さのせいか、さっきの告白のせいか、すげぇ最高潮にイライラしてんだよ、俺。
「赤也くんは……さっきの告白……
どう、思った……?」
……は?
「意味わかんねースよ。
それ俺に聞いてどーするんです?」
冷たく突き放した様に言う。
……何で……
ーー何でそんな、露骨に傷ついた顔すんだよ。
「あたしが、告白されてても……
なんとも思わない……?」
すがる様な紗羅の声に、思考が混乱する。
何とも思わないわけねぇじゃん。
イライラするし、ムカつくし潰してやりたいし。
だから、告白の邪魔なんて言うダセェことしたんだよ。
紗羅先輩の言ってる事の、意味がわからねぇ。
「ねぇ赤也くん……
告白、どうして邪魔したの?
途中まで聞いてたよね?扉のとこで」
!!
「気が付いてたんスか……」
「ねぇ赤也くん、赤也くん」
そんな甘い声で、何度も俺の声を呼ばないで欲しい。
ただでさえ2人きりの空間で、嫉妬に荒れてる俺に、理性なんてあると思うのかよ……