テニスの王子様《短編》
□赤鬼
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今、あっちのオトコの方なんつった?
堪え様のないくらい、怒りが込み上げてきた。
アンタ……
誰に向かって告白してんだよ?
紗羅先輩に、手出すんじゃねぇよ。
「潰してやりてぇ……」
紗羅先輩に、手を出すヤツ全員、潰してやりたい。
「あの……」
紗羅先輩が、ゆっくり口を開く。
受け入れねぇよな?その告白。
……あーダメだ。
ジッとしてらんねぇ……
「何やってんスか?紗羅先輩」
俺はポケットに手を突っ込みながら、壁に寄りかかって無愛想に話かけた。
「あ、赤也くん⁉
どうして……⁉」
「なんだっけ、テープと……
スプレー?の予備取りに来たんスけど……。
あれ、俺お邪魔っスか?」
無理やり割り込んだし、邪魔だろーな俺。
つーか、そんな事構ってらんないし。
「あー、紗羅。
返事は後で聞かせてくれね?
俺、先に教室戻るわ」
すれ違い様に、俺を睨みつけながら、オトコは出て行った。
狭くて暗い倉庫に、紗羅と俺は2人きりで残される。