テニスの王子様《短編》
□赤鬼
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「なら、俺の質問に答えてくださいよ
紗羅先輩、さっきの告白どーするんスか?」
紗羅先輩を、倉庫の壁に押しやる。
手首を掴んで、力を込めると先輩は身動きが出来ないらしく固まった。
ーーほら、逃げらんねぇだろ?
「ねぇ、俺が邪魔しなかったら紗羅は何て答えてたの……?」
そっと耳元で囁いた。
俺の望む答えが欲しい。
ーー俺の、望む答えが。
「……断ってたよ。
あたし、好きな人がいるの……」
「ふーん、そーなんスか」
手首を握った腕にチカラを込める。
あのオトコの告白断るのは、好きなヤツがいるからかよ……。
誰だよ、それ。
……余計にイライラしてきた。
「じゃーさ、紗羅先輩」
「……ん?」
「俺が告白したら、俺の告白も断るんスか?
……好きなヤツがいるって理由で」
そんなの、考えただけでもムカつく。
そんなヤツのこと、考えられなくなるくらい、無茶苦茶にしてやりたい。
「……断らないよ」
ボソりと。
小さく、か細く。
そんな声が聞こえた。
ドクン……ドクン。
この大きく波打つ心音、俺じゃない。
密着した身体を伝わって、紗羅先輩の心音が、俺の身体にまで響いてくる。