テニスの王子様《短編》

□プリンに毒なんて入れたっけ?
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「あぁ、好きだぜ?」


いいな……丸井先輩は夢中になれるモノがあって。



好きなモノに夢中になって、実力もあって、努力もしてて。


ーー今まで、男子テニス部が好きじゃなかった。



女子たちに騒がれてて、カッコつけのチャラチャラした軍団のイメージがあったから。


でも、無邪気な丸井先輩を見てると、そんなイメージ、間違ってたって思う。


「……あ……」


ふと、丸井先輩を見ると



口元に生クリームが、少しついていた。



「丸井先輩、口元に生クリーム、ついてますよ?」


「おっ、まじ?
とってとって!」


目を瞑って、こっちに顔を向けてくるなんて、無防備すぎる……


「……口元の生クリームをとるんだから、目を瞑る必要ないですよ?」


「なんだよ、いいだろぃ……」


少し拗ねた感じで、早くとってと急かしてくる。



……何これ。


……さっきのプリン、何か変なモノいれたっけ。



すごい、心臓がドクドクいってる。


自分でも怖いくらいに、体中が震えてる。


なのに、さっきのプリンみたく、甘い感情が支配している。



ーードキドキする。


ハンカチを取り出して、丸井先輩の口元に当てたその時に。


パシッと


丸井先輩の目が開いたかと思うと、手首を掴まれた。



「……丸井せんぱ……?」



真剣な瞳に圧倒される。


こんなに真剣な表情をするなんて、ズルい。


さっきプリン頬張ってた人とは別人みたい。



ーー私、今すごいドキドキしてる。
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