テニスの王子様《短編》

□雨宿り
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それは突然でした。



余りにも突然の出来事でした。



今でも、あなたの全てを覚えています。



あなたは私の事をどのくらい覚えていますか?



きっともう存在自体、あなたの頭の片隅に追いやられてしまっていそうで……





【雨宿り】



その日の事は、よく覚えています。



その日は朝からバケツの水をひっくり返したような大雨で、雷だって鳴り響いていました。



その悪天候を、私は図書室の窓からボーっと眺めていました。




土砂降りの雨水も、時折ピカっと光る雷も、その全てがその時私の心情とリンクしていました。




図書室の窓際付近に佇む私の片手には、カッターでビリビリに引き裂かれた体操服。



その体操服に何もかもを諦めた視線を投げかけたけれど、それは一度始めてしまえばキリのない事です。



図書室のある椅子に置いてある私の鞄の中身は、毎日変わる事はありません。



ラクガキだらけの教科書

毎日中身を盗られていくお財布

悪意を持って仕込まれた針やカッターの刃などの凶器





ーーこれらは鞄の中に入っているだけいい方です



高価な物や大切な物だと分かった途端、それらは私の鞄から忽然と姿を消すのだから…………
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