番外編

□じゅーく
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シャワーして夕飯食べて一息つくと、一気に眠気が襲ってきた。今日はすごく疲れた。
部活はいつものことだけど、今日は勉強会も長かったし。
アイスを食べてからちゃんと切り替えた私たち1年は、あの後更に宿題をやり進めた。もう残すところあとわずかだ。

携帯の写真フォルダを開いた。そこには今日一番笑った、降旗君作の“火神タイガー”がいる。夕方あれだけ笑ったのに、今もまた笑いがこみ上げてくる。

その話の発端を思い出して、携帯で検索をかけた。サビしか覚えていないあの歌を聞いてみたくなった。サビの歌詞を打っただけで曲名が出てきて同じ人が多いのかと笑った。



あいつは今も泣いているのかな。まだ“自分”を嫌ってんのかな。
「もう嫌だ!!」って泣き叫んだ、あの顔を思い出す。

あの頃の記憶はほとんど真っ黒だ。辛かったこと、嫌なことが全部ごちゃまぜになっている感じ。部活関係では特に笑った覚えがない。

でも、今日この曲を聞いて、合唱祭のことを、頑張って伴奏の練習したこととかプログラムに伴奏者として名前が載る誇らしさとかミスなく弾けて嬉しかったこととか、楽しかったことを思い出した。
あいつは絵が上手いから頻繁に落書きとかしてたし、卒業式にくれたあの色紙はほんとあいつらしくて今でも私の宝物だ。昔からよく笑わせてもらってる。
夏休みにほんとはダメだった買い食いしたりした。あの時のカキ氷はおいしかった。


火神タイガーで爆笑して、先輩たちが買ってきてくれたおいしいアイスを食べて、ほんとに今日は楽しかった。
誠凛バスケ部の一員なんだって、見捨てないからって、そう言ってくれている感じがした。


誠凛のみんなは、いつも私の背中を押してくれる。だから、私は笑って前へ進める。
私はみんなの背中を押せるほど強くないけど、でも、もうチームメイトの泣き顔は見たくない。笑顔でいて欲しい。そのためにも、今度は負けられない。


携帯を閉じて、布団に入った。
しっかり寝て、明日は早起きしよう。そしていつもより早く部活へ行くんだ。バスケバカのみんなに、早く会いたい。




紙ヒコーキじゃなくて落書きが私の心のくもり空をわってくれたなー、なんて。


2014/8/23

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