DB短編2

□望まぬ最強〜最終章〜
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名無しさんは目を見開いた。
それは冷凍保存されているのか…

美しい女達がガラスのケースに入れられズラリと並んでいた。


「どうだい?美しいだろ?」

『あ…あ…』






名無しさんはアレンと何億年も前に会ったことがある。
といっても、アレンが第6宇宙にまで攻めてきたのだ。
目的は「名無しさん」


「やぁ!君は美しいと噂で聞いたけど、実際見たら噂以上だね!」

『はい?』

「僕のハーレムの一員になりなよ!」

『断る!!!!!!』


そして名無しさんはその時アレンの頬に傷を付け追い返した…





「僕はね…?君に傷を付けられてから考えたんだ…
生きていれば形は変わってしまう。ならば、変わる前に保存すればいいんだと……」

『悪……趣味……』


ガラスのケースに閉じ込められた女達をうっとりと眺めるアレンに心底軽蔑した目で見る名無しさん。


「けどね?こんなに美しい女達を集めても満足できないんだ…やっぱり強さと美しさ、そして…僕の顔に傷付けた君がいないと完成しないんだよ。」


アレンは名無しさんを見てニタァと笑った。
その顔にゾクリと鳥肌が立つ。


『くそ…』


名無しさんは今すぐにでもアレンをぶん殴って逃げたいところだが、先程嗅がされた薬で体が痺れ言うことをきかない……
このままでは自分もケースに入れられてしまうだろうから、なんとか時間を稼いで薬が切れるのを待っていた。


「ずっとこの時を待っていたんだ…君は強く隙がない…諦めかけてた時に君の友達のことを知った。
だからじっくり時を待って捕まえて……こんなに上手くいくとは思わなかったよ!」


アレンは嬉しそうに微笑んだ。


『リーナはどうした。』


名無しさんはジロリとアレンを睨んだ。


「あぁ!用が無くなったから第6宇宙に放り出したよ!あの子も美しいから加えようと考えたけどね。」

『リーナにだけは手を出すな。』

「ふーん…妬いちゃうなぁ?まぁいいか…」


アレンは数々の女達をうっとりとした顔で見ていく。


「そう言えばこの子ね?」


アレンは一人の女のケースの前に立った。


「大切な弟を人質にしたんだ。
そしたらな泣きながら弟だけはと言ってきてね?けど弟も泣き喚いてさ……」


アレンはコレクションの女達を自慢していく。
名無しさんはギリッと顔をしかめた。


「そしてこの子はね?」


アレンは一人の女の前に立つ。


「顔はまぁまぁだけど、体が美しいだろ?
この子も最初は凄く抵抗したんだ。だから僕はね……?」

『まさ…か』


にっこり笑ったアレンに名無しさんは嫌な予感がした。


「凄かったよ?最初は泣き叫んでいたけど、暫くしたら自分から求めてくるんだ。」

『き…さま…!!』

「その時のこの子はとても美しかった。だから思ったんだ。
コレクションする前に喜びを教えてあげれば女は更に美しくなると。
だからそれ以降そうやってきた。」

『貴様ぁぁ!!!!女を!!!どこまで汚せば!!!!!』


名無しさんは怒りに燃えるが、体が全く動かない。


「動かないんだろ?悔しいかい?大丈夫!君もその内楽になる。」


アレンはゆっくりと名無しさんに歩み寄ってくる。


『来るな!』


名無しさんは必死に動こうとするが、体は指一つ動かない。


「怖いかい?泣いてもいいんだよ?そっちの方が楽しいからね。」


アレンは名無しさんの元に着き見上げた。


『泣く?私はあなたなんかに屈しないわ?見た目も心も醜いあなたなんかにね!!!!』


名無しさんは言葉でアレンを否定し、抵抗した。


「君…今の状況分かってるの?」


アレンは名無しさんの服の首元を掴み、一気に引き裂いた。


『!!』

「あ〜…さっき殴っちゃったからやっぱり痣ができてるね。」


アレンは名無しさんの腹の痣をなぞった。
ピリッとした痛みが走る。


『触るな!』

「あぁ!心配しないで?コレクションにするのは、ちゃんと痣が消えてからにするから。」


名無しさんはさらにギリリと歯を食い縛った。


「少女のような君が僕の手でどんな「女」になるかが楽しみだよ。」

『あなたごときになるとは思えないわね。』


名無しさんはこんな状況でも抵抗を見せた。
ここで弱気になっては相手の思うつぼだからだ。


『……』


だが名無しさんも自分が危ないことは分かっている。
このままいけばどうなってしまうか分かっている。
すると、ふと一人の人物を思い浮かんだ。
何故こんな時にその人が思い浮かんだのか分からない……
けど、その人を考えると少しだけ気が安らむと同時に、もう会えないかもという寂しさが出ていた。


『なんでこんな時に…』

「考え事かい?」


アレンはいつの間にか手に注射器を持っていた。


「これがなんだか分かるかい?
君が今体が動かない薬と同じ薬だよ。」


アレンは名無しさんの動きを完全に封じるつもりだ。
名無しさんは薬が切れたら即効逃げようと考えていた。
だが、それはアレンも考えていた。

アレンはニコニコと笑って注射器を名無しさんの腕に近づける。


『いや…』

「ん?」


名無しさんは弱々しく抵抗する。
もうダメだと思った。
注射器の針が腕に刺さった。


『いやぁぁぁぁ!!!!!ウイスーーー!!!!!!』





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