DB短編2

□望まぬ最強〜番外編〜
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「さ!着きましたよ?」

「やれやれ、長かった……」


二時間近くかかってやっと第6宇宙の名無しさんの星にやって来た二人。
二人はキョロキョロと周りを見渡す。


「1回だけ来たことあるけど…」


ビルスとウイスはリーナが拐われた時、一度この星に来たことがあるが…


「なんと言うか……」

「平和な星ですねぇ?」


以前は二人の事を気にしていて星自体そんなに集中して見ていなかったが、この星は自然ばかりで人意外の生き物で溢れていた。


「……」


あまりの平和過ぎる星にビルスは眉を潜めた。


「さて…行きましょうか?」


ウイスはスタスタと歩いていく。
ビルスも慌ててその後に着いて行った。

暫く歩けば大きな建物が見えてくる。
レンガで造られた大きなお城……
それは紛れもなく名無しさんの城だ。


「よし!早速入るか!」

「ノックしなくて宜しいのですか?」

「内緒で来てるんだ、ノックするわけないだろう?」


ビルスは堂々と城の門から入り、中へと続く扉をギギッと開ける。


扉を開ければ広いエントランスがあった。
高い窓から差し込む日の光が優しく温かくビルス達を迎える。


「さて…あいつらはどこかな…」




「もういます…」


エントランスの奥、左右に弧を描いたような二階に続く階段から声が聞こえた。

ビルスとウイスが見上げれば、二階からコツンコツンと降りてくる影……


「チッもうバレたか……」

「ビルス…あなたがこの宇宙に来た時に気づいたよ。」


コツンコツンと階段から降りてきたのはリーナだった。


「何しに来た?」

「別に?退屈だったから会いにきてやっただけだ。」


偉そうな態度のビルスにリーナは嫌そうな顔をする。


「いきなり押し掛けて申し訳ありません…ですが、最近会われないので少し心配になりまして…」


ウイスがにっこりと微笑んで言えば、リーナも微笑んだ。


「確かに、いきなりで少し驚きましたが…先程名無しさん様も起きられましたし…こちらでお待ちください。」

「ありがとうございます。」

「なんだよ、この扱いの差…」


階段を降りたリーナはそのまま階段奥の扉を開ける。
リーナは振り返って二人を招いた。
スタスタと進むウイスに理不尽だとブツブツ呟きながら付いていくビルス。
二人が通されたのはエントランスより広いリビングだ。


「どうぞそちらへお掛けになってください、今お茶をお持ちいたします。」


リビングの中央に横長のテーブルが置かれ、奥にイスが一つ、テーブルの左右横にそれぞれ数メートル間隔にイスが置かれていた。
リーナが示したイスに座る二人。
テーブル横に置かれたイスに座れば、見た目以上にふかふかな座り心地にビルスは喜んでいた。


「いいね、これくらいふかふかだと眠くなりそうだ。」


イスを撫でているビルスに対し、ウイスはキョロキョロと見渡した。


「失礼リーナさん…名無しさんは?」


自分達がこの星に来たことをリーナが気づいて名無しさんが気づかないはずがない。
だが、いっこうに姿が見えないことにウイスは気になっていた。


「あぁ…名無しさん様は先程起きた後、散歩に行かれました。」

「散歩…ですか?」

「えぇ、起きたら散歩に行かれるのが日課なので。」


紅茶を煎れながらリーナは笑った。


「今からお呼びしてきますので、申し訳ありませんがお待ちください。」


煎れた紅茶を二人に出してリーナはリビングを出て行こうとした。


「私も行きますよ。」


ガタッと立ち上がるウイスにリーナは目を丸くした。


「え…ですが…」

「私もこの星を色々見てみたいですし…」


「ねぇ?」とお願いするように見てくるウイスにリーナはやれやれという顔をした。


「分かりました。このお城から近い所にいると思います。」

「ビルス様は一緒に行かれますか?」


ウイスとリーナはビルスを見るが、ビルスはぐてんとした様子でイスにもたれていた。


「僕はいいや、移動する時間が長かったからここで休んでるよ。」


そんな様子のビルスにリーナとウイスはクスッと笑った。


二人は城の外に出る。
リーナはウイスに振り返った。


「では、私は北の方を探して参ります。」


ペコリとお辞儀をしてリーナは去っていった。


「さて、私も探しますか…」





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