DB短編

□入れ替わり
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長い長い廊下を必死に走る少女。
少女、名無しさんはウイスに用事があり、ウイスの部屋へと走っていた。


『はぁ…はぁ…』


曲がり角を曲がり、数個先がウイスの部屋。
勢いよい曲がり角を曲がった瞬間、「ドン!」と何かにぶつかった。


『きゃぁぁ!』


勢いよく後ろに尻餅を突く。


「大丈夫ですか?」

ウイスの声が聞こえた。ぶつかったのはウイス様だと思い、慌てて正面を見る。


『ごめんなさい、ウイス…様?』


ウイス様はこんなに小さかっただろうか?
いや…この姿は…


『あれ…私?』

「名無しさん。大丈…夫……」


ウイスも今の状況を見て目を見開いた。


『あれ…?私が目の前に?』

「おや、これは…」

『い…い…』

「入れ替わりましたねぇ…」

『いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


長い廊下に名無しさんの叫び声が響いた。



『ぐす…どうしよう…声までウイス様だよぅ…』

「どうしましょうかねぇ…」


手で顔を覆い泣くウイス(名無しさん)と、後ろに手を組む名無しさん(ウイス)。


「さて…一般的なやり方では、もう一度ぶつかれば元に戻る可能性があるのですが…」

『もう一度…やりましょう!ウイス様!』


名無しさんは意気込んで立ち上がり、そしてウイスに体当たりした。


「ぐはっ!」

『大丈夫ですか!?』


ウイスよりも小さく弱い体。そんな体にウイスの体が体当たりすれば、当然衝撃は大きい訳で…


「名無しさん…何事にも心の準備…が…」

『ウ…ウイス様!』


苦しそうな声でウイスはバタッと気絶してしまった。
名無しさんは慌ててウイスを揺する。
「う…」と少し悲痛な声で唸るので名無しさんは涙目になる。


『とりあえず運ぼう…』


そう思ったが、さてどうしよう…。私一人で持てるだろうか…。
試しにお姫様抱っこの形で持ち上げてみると…


『あれ…?軽い…』


思ったより自分の体は軽く、ウイスの体に入っている名無しさんにとっては軽々と持ち上げられた。


『…とりあえず、私の部屋に運ぼう。』


スタスタと歩き始め、暫く廊下を歩いていると、前方からビルスがやってきた。


「やぁ、ウイス。」

『ウイス?』


名無しさんは一瞬よく分からず、辺りをキョロキョロしていた。
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