DB短編
□私とあなたの距離…3
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ウイスが名無しさんへの気持ちに気づいてから数日が過ぎた。
あれから三人は何事も無く平和に過ごしていた。
「あ〜あ。退屈だなぁ」
ビルスが名無しさんの部屋であくびをしながら言った。
『私は毎日が楽しいですよ?』
「君はね…。僕は最近体がなまってきたよ。」
ビルスが首をポキポキと鳴らした。
『では運動しますか?』
「いや、どちらかといえば…戦いたいかなぁ。」
『戦い…?』
きょとんとした顔で聞き返す名無しさん。
「君には無理だよ。」
流石に少女である名無しさんには本気で戦えない。
この星でビルスの相手ができるのはウイスしかいないのだが…。
『でも…暴力は良くないです!』
「だってしょうがないじゃん。」
(コンコン)
「失礼しますよ?」
「僕は「破壊神」だからさ…」
『…え?』
ウイスが部屋に入ったちょうどその時、ビルスが自分が「破壊神」だということを名無しさんに言ってしまったのだ。
『破…壊?』
「あれ?ウイスから聞いてなかった?」
「ビルス様!」
名無しさんの目が見開かれ、ビルスは今更のように言う。
ウイスはこれ以上話をしていては、名無しさんの星を破壊したのがビルスだとバレてしまい、傷付けてしまうと思いビルスを引っ張り部屋を出た。
「何故、ビルス様が「破壊神」だということを言ったのですか!?」
ウイスはビルスを自分の部屋に連れてきて叫んだ。
「君がもう言ったんだと思って…。
君…どうしたんだい?」
珍しく叫んだウイスを見てビルスが聞いた。
そのビルスの言葉に冷静さを取り戻したウイス。
「…申し訳ありません。」
「君が気を荒立てるなんて珍しいね。」
「いえ…ビルス様が「破壊神」と知り、名無しさんの星を破壊したのがビルス様だと感づかれるのが…。」
「なるほどね…。大丈夫だとは思うけどさ。」
「そうだといいのですか…。」
二人が話していると、ドアの方から小さな物音が聞こえた。
二人が視線を向けると…
『あ…あ…』
「「名無しさん!?」」
名無しさんは二人と目が合うと、そのままどこかへ走り去っていた。
「待ってください!」
ウイスが慌てて廊下に出てみたが、名無しさんの姿はどこにも無かった。