DB短編

□側にいますよ
2ページ/5ページ



「……で、何をどうしてこんなことになったんですか?」


ビルスと名無しさんは頭にたんこぶを作り、ウイスの前で正座していた。


「名無しさんが鬼ごっこにしようって言ったんだ。」

『ビルス様が鬼で私が逃げて…』

「鬼ごっこのはずなのに、何故壁や窓が割れてるんです?」

『ビルス様が…』

「名無しさんが逃げるから…」


頭が痛いですねぇ…
まるで子供みたいに…


「はぁ〜…とりあえず…
お二人共、お仕置きです」


ウイスは自分の杖を出して二人に微笑んだ。
けれど、二人からみるウイスの背には阿修羅が見えた。


『「ごめんなさいぃぃぃぃ!!!!」』

そんな二人の声が星中に広がった。



はぁ…やっと静かになりましたねぇ…
これで私もやっと…

「ウイス!」

「なんですか?ビルス様。
まだお仕置きが足りませんでしたかねぇ?」

「いや…もういい。
あ〜じゃなくて、名無しさんが倒れたんだよ」

「それを早くおっしゃってください!」


ウイスはビルスの言葉に部屋を飛び出した。
先程のお仕置きをやりすぎたのでしょうか…。
罪悪感を胸にウイスは名無しさんの部屋に着いた。


(こんこん)

「入りますよ?」


中から返事はしなかった。
ゆっくりドアを開くと、部屋の奥のベッドがもぞもぞと動いていた。


「名無しさん?」


ウイスがベッドに近づき、覗き込む。
ベッドからは名無しさんの頭が見え、真っ赤な顔で息が荒かった。


「大丈夫ですか?」

ウイスがそっと名無しさんのおでこに手を当てる。

…かなり熱いですねぇ。
風邪でしょうか…。

そう心配して名無しさんを見ていたら。名無しさんがうっすら目を開いた。
苦しそうだが、ウイスの冷たい手に気持ちよさそうに目を細めた。


「目が覚めましたか?」

『ウイ…ス…様?』

「今、冷やすものと食べるものを持ってきましょう。」

『う…ん…。』


ウイスが名無しさんのおでこから手を離すと、少し寂しそうな目でウイスを見つめていた。


「そんな寂しそうな顔しないでください。
直ぐ戻ってきますよ。」

『うん…。』

「もう少し寝ていなさい。」


名無しさんはその言葉にゆっくり目を閉じた。
そんな名無しさんのおでこに軽くキスをしてウイスは部屋を出た。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ