DB短編

□悪夢再び
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「名無しさん…。」

『はい…ビルス様。』

「ウイスはキッチンから持ってきたって…」

『えぇ…お料理にも使っていましたが…
先日のこともありましたし、奥へとしまってあったのですが…』

「…チキュウの酒かい?」

『はい…』

「…」

『…』


二人は恐る恐るウイスを見る。
ウイスはゆらりと顔を上げた。


『嫌な予感がします。』

「同感だね…。」


顔を上げたウイスの顔は赤くて、目が座っていて…。
そして名無しさんを見るとにっこり笑った。


「おや…名無しさん。そこにいましたか…」

『「逃げろ!!!」』


二人は同時に叫んで部屋を飛び出した。
向かった先は名無しさんの部屋。
部屋に入ると名無しさんは鍵をかけた。


『どどどどうしましょう。』

「今更悔いても遅いね。」

『ウイス様があれを持ち出したとは…』

「はぁ…。」


二人は先日のことを思い出して頭を痛める。
またあの死闘が繰り広げられるのかと…。


『何かいい方法は…』

「思いついた。」

『なんですか?』

「君が犠牲になればいいんだよ。そうすれば被害も…」

『…』

「ごめん…」


名無しさんに睨まれビルスは黙る。なかなかいい方法が思いつかず、ため息をこぼした。


『私が犠牲になれば終わるのかなぁ』

「そうですねぇ」

「犠牲者が減るね」

『ん?』


今何かおかしくなかったか?


『…私がウイス様のお相手をすれば全て平和に終わる?』

「ことは直ぐに終わりませんが」

「まぁ、最悪の場合だよね。」

『…ん?』


やっぱり何かおかしい。
内容?会話?会話数?会話人数?


『…点呼!1!』

「2!」

「3!」

『…』


…………………………。


『名無しさん!』

「ウイス!」

「ビル……」


………………。


「見つけましたよ名無しさん。」


にっこり笑顔で名無しさんとビルスの後ろに立っていたウイス。
その姿に二人の顔は青を通り越し真っ白になった。


「ウイス…君は…」

「窓が開いておりましたのでそちらから。」

『なるほど…』


確かにドアには鍵をしめたが、窓は全開になっていた。


『…ビルス様』

「…名無しさん」

『「逃げろ!!!」』


そして二人は鍵を開け、部屋を飛び出した。
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