DB短編

□私とあなたの距離…3
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「まさか今の…」

「聞かれただろうね。
とりあえず今は手分けして探すしかないね。」

「はい。」


二人はそれぞれに別れて名無しさんを探しに向かった。




「(名無しさんっ)」


ウイスは探しながら頭の中で先程の名無しさんの顔が出てきた。
恐怖と驚き、そして今にも泣き出しそうな顔…。

言ってしまった…

初めて会った時、あの濁っていた瞳をした少女を守りたくて、ずっと内緒にしていたこと…。
とても大切で愛おしい少女…。


「どこにいるんですかっ!」


ウイスが思い当たる場所を探す。
ふと湖を思い出し向かった。

湖の側で一人の少女が立っていた。


「名無しさん!」


探していた名無しさんが見つかり、ウイスは名前を呼んだ。
名前を呼ばれ名無しさんはゆっくりと振り返る…
その顔は…出会った時のように瞳が濁っていて………


『ウイス様…』

「名無しさん…」


ウイスは名無しさんに近づこうとした。


『来ないで!!!』

「!!」


ウイスはピタッと足を止めた。


『知っていたんですか?』

「…申し訳ありません」

『知っていて…何故黙っていたんですか?』

「あなたを…傷つけたくはありませんでした。」

『聞きたくなかった…信じたくなかった…』

「名無しさん…」

『うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!』


突然名無しさんが大声で泣き出した。
すると名無しさんから突風が起こった。


「なっ…これは…」


ウイスが名無しさんを見ると、風で作られた球体のような中に名無しさんがうずくまっていた。


「(なんとか抑えなければ!)」


ウイスは自分の杖を出した。
杖の先に力を送り、風を割るように突き進む。
やっとのことで名無しさんがいる風の球体の所まで着いた。


「名無しさん…聞いてください。」

『嫌だ…嫌だぁぁ!』


名無しさんが叫ぶと、風の威力が増した。


「聞いてください…
私は…あなたが…」

『いやぁぁぁぁ!!!』


名無しさんの風が一層強くなる。
ウイスが負けじと杖に力を込めた。


((バチッ!!!))


二人の魔力がぶつかり目の前が真っ白になる。
真っ白になった視界…するとウイスの頭の中に映像がながれてきた。
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