聖書の一冊目。
□聖書の八ページ目。
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貴女「っ、アロー「…我はハーデス。アローンと言う少年は死んだ。」…!?」
アローン「…それよりも、随分とお楽しみだったようだが?」
ヒュプノス「…ハーデス様、それよりも何故此処へ?」
アローン「…今は余が質問したのだ、それにその女は余の物。」
そう言って僕に近づいて腕を引かれれば勢い余ってアローンの胸に抱きつく形となった。腰を深く抱き込まれて動けずにいると後頭部を掴まれて胸板へと押し付けられた。
それを眉根を寄せて見たヒュプノスは己の主に向けて口を開いた。
ヒュプノス「…ハーデス様、ペルセポネ様はよろしいのですか。」
聞き慣れない名前に首をかしげ、もぞもぞと彼の顔を見上げようとしたがそれを許さないように強く胸板に押し付けられる。
アローン「………。」
ヒュプノス「…一度お戻りになられた方が宜しいのではないでしょうか。」
黙り込む冥王に追い討ちをかけるように言葉を紡ぐヒュプノス。その言葉に冥王が口を開いた途端、透き通った女性の声が木霊した。
「ハーデス!」
アローン「っ、ペルセポネ…?」
冥王はアレイスから急いで離れて女性と対面するようにたった。ペルセポネと呼ばれている女性は綺麗で透き通った瞳を潤ませて冥王の袖を掴んで上目で見つめた。
「心配しました…貴方が居ないとタナトスから聞いたものですから…。」
アローン「…そうか、心配かけてすまなかったな…我が妻よ。(タナトスめ…余計な真似を…。)」
―ズキン、と彼の最期の言葉に胸が苦しくなった。
(この痛みは、何?)