聖書の一冊目。
□聖書の十ページ目。
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貴女「んっ―――……。」
暖かい、何で…?頬に添えられている暖かい熱に薄らと目を開けて添えられている物に触れようとするも気力も無く、そのまま寝たきりのままで顔を向けた。
見慣れた金色の長い髪に湖の様な綺麗な瞳の色が視界に入っていた。…アローンだろう、そう確信すると口を開いた。
貴女「あ、ろー…ん…。」
アローン「あ、起きちゃった…?」
彼の名前を呼ぶとハッとした様に僕の目を見つめて苦い笑みを浮かべる彼を見て此方も釣られるように苦い笑みを浮かべ返した。
アローン「…あのね、聞いて欲しいんだ。」
真剣な眼差しを向けられては、こくりと頷いて彼を見つめ返した。
アローン「…ペルセポネはね、僕の中に宿っているハーデスが愛した女性なんだ。…このアローンである僕自身は…彼女の事を愛してない。
あの子は、ペルセポネの転生した姿なんだ。中身はペルセポネじゃないけれど…僕の中にいるハーデスが好きなんだ。
…僕は、彼女といても楽しくないし、その…落ち着かないんだ。ほら、こうやって君の頬に手を添えているけれど…彼女にやってみても落ち着かないんだ。」
貴女「…ふふ、慣れていない人だからですよ。」
アローン「違うよ、きっと…きっと、アレイスと一緒にいると落ち着くのは…僕がアレイスを好きなんだからだと思うんだ。」
貴女「…!」
彼の唐突な言葉に目を見開いて彼を見つめた。何かを伝えようと口を開いたのだがその瞬間に扉が開いてあの女性の声が木霊した。
ペルセポネ「ハーデス、パンドラが呼んでいましたよ。」
扉が開いた瞬間、自分の中身がアローンだとバレない様に髪を黒にし、頬に添えられている手も離してペルセポネに向き合った。
アローン「…解った。では、余は行ってくる。」
ペルセポネ「行ってらっしゃい、ハーデス。」
―パタン、と音がしたあと彼女は僕の近くに寄ってこう言ったんだ。
ペルセポネ「私から…彼を奪わないでっ…!!」
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