壊れた本の一冊目。


□壊れた本の六ページ目。
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貴女「――っ、ですが、このままだとっ…!!」


アレイスはアレンの腕を振り解いて神田の元へ行こうと試みたがやはり男女の力の差が有り、虚しくもそれは失敗に終わった。


アレン「……姉さん、」


アレンは己の手を振り解こうとする姉の姿を見ては意志の強い目を向けた。一方、アレイスはその強い意思が篭った目を見て辛そうな表情をし、振り解こうとした手の力を――緩めた。


「ギャヒャヒャ!!此奴立ちながら死んだぞ!!」


貴女「―――!!」


アレン「御前ぇええ!!」


―バァンッ!


貴女「神田、トマ…!!」


アレン「(良かった、呼吸してる…まだ生きてる。)」


――――


貴女「か、んだ…しっかり、して下さい、よ。」


あれから数分、僕達は負傷した二人をアレンがトマ、僕が神田を担いであのAKUMAから逃げてきた。


やはり重い…と思うもそれは男女との体格差であろう。それに蹴られた時に肋骨の何本か折れたのか動くのが辛い。


トマ「ウォーカー殿…私を置いていって下さい…貴方も怪我を為さって居るのでしょう…。」


アレン「何て事無いですよ!」


貴女「……。」


アレイスは神田を治療する事ができない、見ている事しか出来ない自分の虚しさに苛立ちを隠せずに拳を握った。


アレン「(くそ…自分が何処に居るか全然解らない…どこか…手当て出来る場所はないのか。姉さんは気付いてないだろうけど姉さんも傷だらけだ…。)」


貴女「…歌…?」


アレン「…!歌が…聞こえる…。」


―それは―


  ―酷く美しい旋律の造化の子守唄―
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